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ネリはイメージ回復できるのか? リング内外で求められる「クリーンファイト」

   ボクシングのWBC世界バンタム級王座挑戦者決定戦が2019年11月23日、米ラスベガスで行われる。WBC同級1位ルイス・ネリ(24)=メキシコ=と元IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(27)=プエルトリコ=が拳を交える。

   同決定戦はヘビー級タイトル戦の前座として行われ、世界的に注目されるなか、米専門メディアがネリの体重超過の不安を指摘するなど試合前計量にも注目が集まっている。

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色濃く残る「問題児」のイメージ

   連勝街道を突き進む世界1位と世界王座奪回を目指す元王者の一戦は、日本のボクシングファンのみならず世界のボクシング関係者から熱視線が送られる。試合は米国内でペイパービュー(PPV)方式で中継され、海外の専門メディアでは特集記事が組まれるほどの注目度だ。どのような展開になるのかなど勝敗を予想する記事があるなかで、体重超過の「前科」を持つネリが、ウェートを作ることができるかどうかに目を向けるメディアもある。

   体重超過の失態を犯した2018年3月の山中慎介戦以降もバンタム級のリングに上がり続けてきたネリ。今回は王者への挑戦者決定戦となるだけに、より慎重に調整しているとみられ、山中戦のように体重管理を怠ることはないだろう。その一方で日本のボクシング関係者、ボクシングファンの間では、いまだネリのドーピング疑惑を問題視する声が途絶えず、山中戦のイメージが色濃く残っている。

   ネリのドーピング疑惑が持ち上がったのは、2017年8月のこと。WBCによると、山中戦に先立って行われたドーピング検査で、ネリの検体から禁止薬物のジルパテロールに対する陽性反応が出たという。だが、メキシコでは家畜を太らせるためにジルパテロールを使用することがあり、ネリがその肉を食べた可能性があるとし、故意に摂取した確証が得られなかったことからWBCはネリに対する処分を見送った。

体重超過によって王座はく奪されるも...

   結局、ネリはそのまま王座に君臨し、山中は同級1位にランクされることに。WBCの対応、説明の不透明さも相まって、日本のボクシング関係者からは「甘すぎる」との指摘が相次ぎ、ボクシングファンを巻き込んでの騒動に発展した。そしてリマッチでネリが体重超過によって王座をはく奪された。だが、ネリが2回TKO勝利したため、山中の王座返り咲きはならず、ボクシングファンの間では「ネリ憎し」の感情が広まっていった。

   これまでたびたびメキシコ出身の世界王者が禁止薬物の陽性反応を示すケースがあったが、その多くがおとがめなしに終わっている。今月上旬には、WBC世界スーパーバンタム級王者レイ・バルガス(28)=メキシコ=とWBC世界フライ級1位フリオ・セサール・マルティネス(24)=メキシコ=が、禁止薬物クレンブテロールの陽性反応を示したが、WBCはメキシコで流通する食肉を摂取したことが原因と判断。意図的な摂取ではなかったとして処分を科さなかった。

   WBC王座は、井上尚弥(26)=大橋=が王座統一を目指す過程で避けることのできないもの。王者ノルディ・ウバーリ(33)=フランス=への挑戦権がかかる一戦は、日本での注目度が高く、ネット上では日本のボクシングファンの多くがロドリゲス勝利を支持している。「悪童」、「問題児」など暗いイメージがつきまとうネリだが、これを一新するためにはリングの内外で「クリーンファイト」が求められるだろう。