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舞の海氏「過去の横綱はこういう立ち合いはしなかった」 白鵬の「かち上げ」、優勝目前で波紋

   大相撲の横綱白鵬(34)=宮城野=の「かち上げ」が波紋を広げている。九州場所12日目が2019年11月21日、福岡国際センターで行われ、結びの一番で横綱白鵬が小結遠藤(29)=追手風=をはたき込みで下した。

   11勝目で賜杯を大きく引き寄せたが、白鵬が立ち合いで放った「かち上げ」にNHKのテレビ解説を務めた舞の海秀平氏(51)が苦言を呈するなど横綱の品格が問われる一番となった。

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「肘打ちは見ていて後味悪い」

   流血戦となった結びの一番。立ち合い、互いの呼吸が合わずに遠藤がつっかけた。そして2度目の立ち合い、白鵬は左から張り右肘でかち上げた。これがまともに遠藤のアゴをとらえた。白鵬は一度引いたものの、左右の張りで攻勢に出て、遠藤はたまらず土俵に手をついた。敗れた遠藤は土俵の上で数秒間動けず、鼻からは出血が。優勝の行方を大きく左右する一番は、荒く激しい相撲だった。

   NHKの解説を務めた舞の海氏は、白鵬の立ち合いに関して厳しい言葉を並べた。「過去の横綱はこういう立ち合いはしなかったですけどね。このかち上げというか、肘打ちは見ていて後味悪いですね」とストレートに感情を露わにし、本来相撲の技である「かち上げ」を「肘打ち」と表現した。

   白鵬は過去に横綱審議委員会から「張り手」と「かち上げ」を注意され、土俵上の振る舞いに関して横綱としての品格を問われたこともある。角界の頂点に立つ横綱は、全力士の手本となるべき存在。優勝が目の前に迫っているとはいえ、なりふり構わぬ荒々しい相撲に角界関係者から「反省」を促す声が上がっている。

荒磯親方は「かち上げ」のリスクを指摘

   一方で技術的な面でいえば、「かち上げ」は諸刃の剣となる。NHKで解説を務めた荒磯親方(元横綱稀勢の里)は「(かち上げは)ここにスキができますから、右のわきに。かち上げした瞬間にそこをうまくついていくということもしっかり頭に遠藤があれば、ここまでまともに食らわなかった」と話し、「かち上げ」をする際に生じるわきの甘さを遠藤がつけなかったことを指摘した。

   白鵬は今年9月に日本国籍を取得し、将来的には協会に残って親方として後進の指導にあたるとみられる。今場所優勝ならば、自身の記録を更新する43度目の優勝となる。すでに大横綱の称号を得ている白鵬だが、土俵上の振る舞いに関して問題視する関係者は少なくない。新元号「令和元年」を締めくくる場所となる九州場所。早ければ13日目にも白鵬の4場所ぶり43度目の優勝が決まる。