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ヒプマイ人気で加速する「声優×キャラ×音楽」 競合コンテンツも続きシーンに活気が

   2018年から19年にかけて急速に成長したエンタメが「男性声優×キャラクター×音楽」である。

   声優がキャラクターのセリフだけでなく歌も歌唱し、難易度の高い音楽ジャンルに挑む。特にここ最近勢いがあるのが「ヒプノシスマイク(ヒプマイ)」だが、その他のコンテンツもアニメ・キャラクタービジネスの中で存在感を増している。

  • ヒプノシスマイク(上)とパラドックスライブ(下)のビジュアル(公式サイトより)
    ヒプノシスマイク(上)とパラドックスライブ(下)のビジュアル(公式サイトより)
  • ヒプノシスマイク(上)とパラドックスライブ(下)のビジュアル(公式サイトより)

声優が本気でヒップホップやEDMに挑戦

   声優が歌い、かつキャラクター同士が「戦う」というコンセプトを掲げ、一躍名を上げたのは「ヒプノシスマイク」だ。

   17年9月に始動したヒプノシスマイクは、男性声優が演じるキャラクターが作中世界の地域=「ディビジョン」ごとにチームを組んでラップで戦いを繰り広げるコンテンツ」だ。同作はたちまち人気を得て、19年にはディビジョンとキャラクターを増やし、8ディビジョンに18人の男性キャラクターがいる。

   ヒプノシスマイクは、ディビジョンごとに職業や性格まで丁寧に作り込まれたキャラクター、ヒップホップに造詣の深い木村昴さんや芸歴豊かなベテランの速水奨さんら多彩な声優陣が本気でヒップホップに挑み、チームごとにラップを競い合う相乗効果がコンテンツの熱気を作った。

   キャラクターコンテンツでキャラクター名義の楽曲をリリースするのは既にアニメ・ゲームで定番となっている。楽曲やキャラクターが売りの二次元コンテンツとしては、すでにアイドルゲームが多数制作されている。男性キャラをフィーチャーした人気作としては、「うたの☆プリンスさまっ♪」(2010年スタート)、「アイドリッシュセブン」「あんさんぶるスターズ!」「B-PROJECT」(いずれも2015年スタート)などがあり、競争の激しいコンテンツの中でも歴史は長い。ヒプノシスマイクのヒットは、こうした激戦区に新生面を切り開く形となった。

   ヒプノシスマイクがラップ・ヒップホップを開拓すると、EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)でも方向性が近いコンテンツが始動した。声優が半死半生のキャラクター「ハンデッド」を演じて歌う、男性声優×ゾンビ×EDMのプロジェクトの『HANDEAD ANTHEM(ハンデッドアンセム)』(19年7月始動)である。こちらは16人のキャラクターが4つの「支部」というグループに分かれているが、演じる声優は小松昌平さん・益山武明さん・増元拓也さん・濱健人さんの4人だけで、4人がキャラクターと歌を演じ分ける点がみどころである。

後発コンテンツめぐり議論も

   ラップ・ヒップホップ・EDMと音楽界のトレンドを吸収するキャラクターコンテンツが続くと、19年11月に「HIPHOPメディアミックスプロジェクト」として「Paradox Live(パラドックスライブ=パラライ)」の始動が発表された。Paradox Liveには14人のキャラクターが登場し、12人の声優と、さらに2人の歌い手(96猫さん・志麻さん)がキャラクターを演じることが特徴だ。

   一方でこのParadox Liveの詳細が発表されると、ヒプノシスマイクとの類似点を指摘する意見がネットユーザー、特にヒプノシスマイクのファンから出始めた。ヒプノシスマイクと同様、キャラクターがヒップホップ系の楽曲を歌い、チームでバトルを繰り広げるコンテンツという点がやはり大きい。一方で、

「ヒプマイは声優×ラップ音楽原作コンテンツに対して、パラライはHIPHOPメディアミックスコンテンツと全く違う」
「ラップとは言っていないのでブレイクダンスなども含むパフォーマンスなのかもしれない」
「アイドル系が飽和してるところで、オタク向けにヒップホップコンテンツという選択肢が別に普通になるって誰が予想しただろうかwいつかコンテンツ同士でラップバトルしてほしいw」

という見方も声優やアニメソングのファンから出ている。様々な感想・意見が飛び交いつつも、声優がヒップホップを歌うこと自体は受け入れられている様子だ。コンテンツの林立は需要の裏返しともいえ、先発組の成果がうかがえる。