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山口組抗争で使われた自動小銃、米軍用「XM177」か 専門家「3キロ先でも殺傷、流れ弾が怖い」

   兵庫県内で暴力団幹部が殺された事件で、犯行に自動小銃が使われたと報じられ、ネット上で波紋が広がっている。

   一体どんな銃なのだろうか。専門家は、米軍用のモデルの可能性を指摘する。その威力は――。

  • 使用された可能性があるXM177と近い種類の銃器。米空軍で使用されたGAU-5A
    使用された可能性があるXM177と近い種類の銃器。米空軍で使用されたGAU-5A
  • 使用された可能性があるXM177と近い種類の銃器。米空軍で使用されたGAU-5A

約30発が発射され、「日本での出来事なのか?」

「機関銃を乱射なんて」「これ日本での出来事なのか?」「なんでこんな銃器を暴力団が所持している」...

   一時「機関銃」と報じられたこともあり、ニュースサイトのコメント欄などでは、こんな書き込みが相次いだ。

   報道によると、尼崎市内の路上で2019年11月27日夕、指定暴力団神戸山口組の男性幹部(59)が頭や腹などを少なくとも5か所撃たれ、搬送先の病院で死亡が確認された。銃撃した男は車で逃走し、警察が緊急配備したところ、京都市内の路上で似た車を見つけた。

   京都府警の警察官が職務質問したところ、拳銃を突き付けられたが、銃刀法違反などの現行犯で指定暴力団山口組の関係者の男(52)を逮捕した。車内からは、拳銃と自動小銃、実弾5発が見つかった。最近は、山口組と神戸山口組などの間の抗争による事件が相次いでおり、男は、幹部を銃撃したことを認め、さらに別の組員を狙うつもりだったとも供述したという。

   殺された幹部は、10発ほど撃たれたというが、現場に20発近い薬きょうが見つかり、約30発が発射された可能性もあるという。

   テレビでは、犯行に使われたとみられる自動小銃や薬きょうの映像が流れているが、一体どんな銃なのだろうか。

「米軍の廃棄か、兵士の横流しで入手の可能性」

   猟銃などの製造事業の許認可を持ち、銃に詳しい芝和男さん(55)は11月28日、J-CASTニュースの取材に対し、米軍で使われている「XM177」という名前の自動小銃ではないかと見方を示した。

   これは、AK-47とともによく知られるM16の銃身が短いカービンタイプだといい、犯行に使われたのは、ベトナム戦争が終わった1970年代ごろの古いものだという。

「古い形式の部品を使っており、暴力団が在庫として持っていたのかもしれません。弾倉に30発が入りますので、犯人は撃ち切って逃げたのでしょう」

   入手ルートとしては、次のような可能性を挙げる。

「弾が出る銃身が短く、輸入できないタイプですので、まともなルートでは出回っていないですね。米軍が廃棄処分した銃を手に入れたのか、兵士が小遣い稼ぎに横流したのか、のいずれかでしょう」

   その性能や威力については、こう話す。

「全自動ですので、引き金を引きっぱなしで弾が出続けます。100~200メートル先でも狙って当てることができます。3キロ飛んでも殺傷できるとされています。ですから、警察の防弾チョッキも効かず、流れ弾はとても怖いですね」

   犯行に使われた自動小銃について、別の専門家は、もう1つの見方を示した。

   ガン専門誌「Gun Professionals」編集担当の松尾哲司さんは、ベトナム戦争で米軍が使ったM16のカービンタイプだとしたうえで、1980~90年代に製造されて米軍基地から流出したか、90年代に中国から密輸されたものか、だという。

   今回の銃が部分的に迷彩模様に塗られ、肩にかける銃床の一部が外れてしまったことから、コピーモデルの可能性もあるとした。その場合、耐久性は劣るが、操作性はいいとし、引き金を引きっぱなしなら、30発は3秒以内に撃てるそうだ。

   (2019年11月29日13時20分追記)「Gun Professionals」編集担当の松尾哲司さんの見解を追記いたしました。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)