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ジャニーズ帝劇公演が「本人確認」強化 不正転売対策もファン困惑のワケ

   2019年12月8日から、東京・日比谷の帝国劇場でショー「JOHNNYS' IsLAND」(通称ジャニアイ)が上演されている。

   ジャニーズ事務所の若手タレントが大勢出演する人気公演だが、チケットを持って劇場に来ても、本人確認で観劇を拒否される例が多発しているという。突然の本人確認強化に、ジャニーズファンらは困惑している。

  • チケットの取りづらさは国内トップクラスの「ジャニーズ×帝劇」で何が?
    チケットの取りづらさは国内トップクラスの「ジャニーズ×帝劇」で何が?
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帝国劇場「不正転売防止のため、さまざまな対策を行っております」

   「JOHNNYS' IsLAND」は、King&Princeの平野紫耀(しょう)さん・永瀬廉さん・高橋海人さんが主演し、ジャニーズJr.のメンバーも多くが出演している。20年1月27日まで上演予定だが、他のジャニーズ出演舞台の例にもれず、チケットはプレミアチケットと化し、現在もネット上の二次流通サイトでは、定価最高額のS席1万2800円を大幅に上回る数十万円~5万円前後の価格帯で出品されている。

    12月8日に初日が明けると、公演でチケットの本人確認があったというジャニーズファンのつぶやきがツイッターに多く投稿された。中には入場を断られたというツイートも多く、厳密な本人確認が行われていることがうかがえる。しかし同時に「本人確認されなかった」という観客のツイートも投稿されており、チケットの確認方法についてファンの間で情報が錯綜していた。

   「JOHNNYS' IsLAND」での本人確認方法について、J-CASTニュースが帝国劇場に取材を行うと、12月12日に「不正転売防止のため、さまざまな対策を行っております」と回答しつつ、チケットの確認方法については「(編注:転売対策に対して)対策されないため」に答えられないとのことだった。

    実際に本人確認され入場を拒否されたという女性ファンAさんと、観劇できた女性ファンBさんの2人にも話を聞いた。

   Aさんは身分証をチェックされ、チケットが自分名義の名前ではなかったため、チケットを没収されて入場できなかったと語る。その場ではAさんの他にも入場拒否された人が20人ほどいたという。Bさんは友人が複数枚当てたチケットの1枚を譲ってもらったが、厳密な本人確認はされずに観劇できたそうだ。また本人確認は観客全員にではなく、チェックされない観客もいたと2人とも答えた。

「自名義」「他名義」ファン苦心のチケット事情

   従来、ジャニーズのコンサートでは、「嵐」の公演では厳密な本人確認が行われていたが、その他のグループの公演ではファンクラブ会員証と公的な身分証明書の持参を呼び掛けていたものの、本人確認が行われるのは極めて稀だった。Aさん・Bさんともに今まで本人確認をされたことはなかったそうだ。

   また、ジャニーズファンの間では高倍率の公演チケットを取るため、1人で複数のファンクラブのアカウントを持ち、複数の名義の応募が当たり前になっている。このため自分の名義で当選した「自名義」ならば本人確認があっても問題ないが、他人名義で当選したいわゆる「他名義」では、身分証を確認されると入場を拒否される可能性がある。他名義で当選したチケットでコンサートに参加するのは珍しくなく、Bさんによれば、他名義で当選するケースの方が圧倒的に多いのではないかという。また自名義・他名義を問わず、ファン同士でチケットの交換や定価での譲渡もごく普通に行われているそうだ。

   加えてBさんのように、複数枚当選したチケットの一部を譲り受け、当選者の同行者として入場することも当たり前だった。しかし本人確認が行われると、「自名義」以外のチケットはすべて無効となる可能性がある。高額転売チケットでなくても、身分証を忘れた人や同行者でも一律に拒否するかのような確認方法にはAさん・Bさんとも疑問を表している。

   Aさんは「転売を買って入れないのは仕方ないですが、同行させてもらう時でも入れない可能性があるのは意味わからないと思います」と話し、Bさんも「本人確認をするならそれに必要な証明書をきちんと明記してほしいです」と話し、また「同行者の名前を申し込み時に入力するところなど全くなかったのに、どのように判断しているのか、意味が分からないため事務所側から説明してほしいです」と疑問を呈した。

チケットのリセール制度求める声も

    さらに、事前の告知もなく、過去の「JOHNNYS' IsLAND」公演でも無かったところに突然本人確認が始まったため、ファンが困惑しているのではないかとBさんは話す。確認方法についても、劇場スタッフがメモを持っていたために「ネット上の転売チケットの番号付近を確認しているのでは」(Bさん)と思われるケースもあれば、「チケットを見せる前に身分証の提示を求められた」(Aさん)の例もあり、対応が分かれているようだ。

   事前の告知なく本人確認が始まったこと、全員ではなくランダムに行われていることなどから、ジャニーズファンからは「不公平」といった感想も出ている。

「本人確認やるならやるで全員やりなよね、中途半端すぎじゃんたまたまされて入れなかった人かわいそすぎじゃん不公平」
「ランダムなら、自名義じゃなくても、入れる人と入れん人おるってこと?不公平すぎん??」

   などの声があり、入場を拒否されたAさんも「ランダムではなくやるなら全員やるべきだと思います。不公平です」と話している。

   また余ったチケットや急に行けなくなったチケットのリセール制度を整備してほしいという意見もある。Bさんは「ジャニーズ事務所は他の事務所と違い、体調不良等で行けなくなったときに譲れる公式サイトがないため作ってほしいです」と取材に答えている。

   帝国劇場では「JOHNNYS' IsLAND」の後も、Kinki Kidsの堂本光一さんが主演するミュージカル「Endless SHOCK」が20年2月から上演予定だが、今後の公演でも同様の本人確認を行うかについて、帝国劇場は取材に対し、具体的な回答は控えるとしている。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)