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自動改札機の技術革新、着々と進んでいた 「タッチ」もそのうち過去の遺物に?

   改札にSuicaをタッチして、ホームへ急ぐ――。そんな日々の光景が一変するかもしれない。

   Suicaが開始してから、20年弱。このところ、新たな自動改札機の開発が、相次いで公表されている。

  • タッチが時代遅れになる?
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QR乗車券は普及しつつある

   JR東日本は、2020年3月24日に開業予定の高輪ゲートウェイ駅(山手線・京浜東北線)に、新型改札機を試行導入する。車いす向けにICカードのタッチ部分をアレンジするほか、QRコードの読み取りセンサーも設置して、モニター評価実験を行うとしている。

   QRコードでの自動改札には先例がある。広島市安芸区の新交通システム「スカイレール」は13年1月、ICカードに加えて、紙タイプの「QR乗車券」を使用開始した。改札機に通さず、タッチで読み取らせるもので、磁気式の券は使われていない。その後も、ゆいレール(沖縄県)が14年10月、北九州モノレール(福岡県)が15年10月に、同様の仕組みを導入している。

   J-CASTニュースの姉妹サイト、Jタウンネットの記事「沖縄モノレールの乗車券、なぜQRコード? →実は『気候』が関係していた」(19年8月20日掲載)によると、ゆいレールへの導入には、汗で湿った乗車券による紙詰まりが頻繁に発生していたことが背景にあるという。また、磁気券は産業廃棄物として処理されるが、QR券は通常の紙を使っていて、環境にやさしいことなどもメリットとして挙げられている。

左利きも「タッチレス改札」で便利に

   ICカードやQRコードでは、券を読み取らせる必要があるが、そもそもタッチすらしない改札機の開発も進められている。19年11月下旬にはJR東日本が「タッチレス改札」を開発中で、20年にも実証実験を行う計画だと報じられた。各社報道によると、改札天井にあるアンテナから電波を発し、乗客のスマートフォンと通信するという。いちいちICカードを出す必要がなくなるため、左利きや荷物が多い人などにも使いやすくなる。JR東が18年7月に発表した、27年ごろに向けた経営ビジョン「変革2027」には、タッチレス・ゲートレス改札の実現が盛り込まれている。

   大阪メトロの顔認証改札も、注目を集めている。12月10日からドーム前千代崎駅、森ノ宮駅、動物園前駅、大国町駅で実証実験を行っている。同社社員を対象として、メーカー4社の技術協力のもと、20年9月末まで実施する予定だ。実験では、顔認証によるチケットレス改札を24年度に実用化するべく、課題抽出や検討基礎データ取得を行うという。

   思えば、自動改札機が全国的に普及したのは、ほぼ平成の幕開けと同じだった。昭和60年代に生まれた筆者も、都内の改札でも「うらが白い切符」が現役だった時代をうっすら覚えている。有人改札の思い出のように、いつか「改札にタッチしていた時代もあったんだよ」と、振り返る時が来るのだろうか。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)