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ロマゴン復活でスーパーフライ級どうなる 井岡、ヤファイ...WBCの可能性も

   ボクシングの世界4階級制覇王者ローマン・ゴンザレス(32)=ニカラグア=が2019年12月23日、横浜アリーナのリングで1年3カ月ぶりの復帰戦を飾った。試合は52.6キロの契約体重8回戦で行われ、ディオネル・ディオコス(26)=フィリピン=を2回TKOで下した。かつてパウンド・フォー・パウンド(PFP)の頂点を極めた最強王者の復帰は、スーパーフライ級戦線をどう変えるのか。ロマゴンの今後に注目が集まる。

   アマチュア、プロを通じて無敗のまま世界4階級制覇を達成し、2015年には世界的に権威ある米国の専門誌「リング誌」が格付けするPFPで重量級選手を押しのけて1位の座を獲得。2017年の年末には、当時WBO世界スーパーフライ級王者だった日本が誇る「モンスター」井上尚弥(26)=大橋=との王座統一戦の計画も。だが、17年3月に行ったWBC世界スーパーフライ級防衛戦で初黒星を喫し、すべては白紙となった。

   ミニマム級でプロキャリをスタートさせたロマゴンは、その後、階級を上げていき、ライトフライ級、フライ級でのパンチ力は圧倒的で体格的にも優位に立ち無敵を誇った。スーパーフライ級に階級を上げてからのロマゴンは体力で押し込まれる場面が見られ、事実、シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)に連敗を喫している。スーパーフライ級は限界とみる関係者もいるなか、ロマゴンはこの階級で再び世界を目指している。

   ロマゴンが標的とする王座はWBAとWBOだ。ミニマム級、ライトフライ級時代にWBAのベルトを巻いており、現在、WBAのスーパーフライ級の3位にランクインしている。ランキング的にはすぐにでも世界王座に挑戦できる位置におり、来年中の王座返り咲きを目指すのならば同級王者カリド・ヤファイ(英国)への挑戦が現実的だろう。また、復帰第2戦は来年2月を予定している。

   日本のボクシングファンは当然ながらヤファイ戦よりもWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(30)=Reason大貫=との対戦を望んでいる。両者はフライ級時代からたびたび対戦の話題が上がってきたが、実現に至らなかった。井岡、ロマゴンともにそのボクシングキャリアにおいて円熟期に入っており、井岡は階級を上げ一段とパワーが増した。両者の対戦が実現すればファンの期待を裏切る内容にはならないだろう。

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WBC暫定王座決定戦出場の可能性も

   また、ロマゴン自身はWBA、WBO王者への挑戦を熱望するも、状況によってはWBC暫定王座決定戦の出場の可能性がある。WBC王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)は、2020年1月末にフロリダ州でWBA王者ヤファイとの王座統一戦を予定していたが、手の負傷によりキャンセル。負傷の程度は明かされていないが、海外メディアによると、復帰は2020年後半になる見込みだという。

   エストラーダの復帰が遅れれば、WBCが暫定王座を設定する可能性が高い。ロマゴンは現在、WBCスーパーフライ級2位にランクインしていることから、暫定王座決定戦が開催されれば優先的に出場権を獲得できる。暫定王座の行方はエストラーダの手の回復次第ということになりそうだが、WBCスーパーフライ級王座はロマゴンがかつて保持していたものだけに暫定王座とはいえ愛着はあるだろう。

   IBFはフィリピン期待の星、ヘルウィン・アンカハス(フィリピン)がスーパーフライ級のベルトを巻いている。2017年に米国の大手プロモート会社トップランクと契約を結び、本格的に米国進出を果たしている。現時点でロマゴンと絡みそうはないが、王座統一をもくろむ井岡の対戦候補のひとりとなる。

   ロマゴンがフライ級までの圧倒的なパフォーマンスをスーパーフライ級で発揮できるかどうかは未知数だが、ロマゴンが復帰したことでスーパーフライ級が世界的に注目を集めることは必至だろう。ボクシングファンが待ち望む井岡VSロマゴン戦はついにスーパーフライ級で実現するのか。理想は王座統一戦の舞台で両者が拳を交えることだが、井岡は12月31日に控える防衛戦をクリアすることが先決となる。