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NHKミサイル誤報は日本の陰謀? 北朝鮮メディアが「下心」勘繰る

    NHKが2019年末に北朝鮮のミサイル発射を誤報した問題をめぐり、北朝鮮のメディアが20年1月6日に相次いで反応した。朝鮮中央通信は誤報を通じて日本の「下心」を勘ぐる一方で、北朝鮮の宣伝機関「祖国平和統一委員会」が運営するウェブサイト「わが民族同士」は、誤報で日本が「世界の笑いものになった」などと言及した。

    この誤報をめぐっては、韓国メディアが「このような偽アラームが戦争を引き起こしかねない」などとする専門家の談話を交えて批判的に報じたという経緯がある。今回の北朝鮮の言及でさらに影響が広がったと言え、NHKにとっては痛恨のミスだと言えそうだ。

  • 2019年末は「誤報」だったが…(写真は労働新聞ウェブサイトから)
    2019年末は「誤報」だったが…(写真は労働新聞ウェブサイトから)
  • 2019年末は「誤報」だったが…(写真は労働新聞ウェブサイトから)

「再侵略のための武力近代化を促そうとする下心の明確な発露」

    NHKの誤報は、19年12月27日未明の0時22分、ニュースサイトやニュース・防災アプリなどで

「北朝鮮のミサイル 海に落下と推定 北海道襟裳岬の東約2000キロ」

と速報を出した、というもの。その約20分後の0時45分にウェブサイトで

「0時22分配信の北朝鮮ミサイル落下のニュース速報は誤りでした」

とする訂正を出し、総合テレビのニュースでも誤報について陳謝した。

    北朝鮮が反応したのはその10日後だ。朝鮮中央通信が「何を狙った『誤報』騒動か」と題して配信した記事では、「誤報」について

「明白に、自国内にわれわれに対する恐怖の雰囲気を醸成し、それをきっかけにして再侵略のための武力近代化を促そうとする下心の明確な発露である」

と主張。19年11月には、改憲発議に反対するデモが起きたことを指摘しながら、

「日本の反動層が民心を逆転させて一石二鳥の効果を見ようと考案したのがまさに、ミサイル『誤報』騒動である」

とした。

北朝鮮宣伝サイト「時間は今後も永遠に私たちの側にある」

   「わが民族同士」では、北朝鮮との国境に最も近い在韓米軍基地「キャンプ・ケーシー」で12月26日に起きた「空襲警報騒動」とNHKの誤報に言及した上で「米国と日本は世界の笑いものになった」などと指摘した。この2つの出来事は、北朝鮮が

「クリスマスプレゼントに何を選ぶかは、完全に米国次第だ」

   などと威嚇する声明を出していた矢先の出来事で、「わが民族同士」の記事では「時間は今後も永遠に私たちの側にある」として、過去も未来も北朝鮮が主導権を握ることを主張し、

「私たちは、党中央委員会第7期第5回総会で明らかにされた正義と勝利の道に沿って、新年も自信高らかに力強く進むだろう」

と結んだ。19年12月28日から31日にかけて開かれた総会では、金正恩委員長が米国について「依然として敵対的行為と核の脅威・脅迫が増大している」とした上で、

「世界は遠からず朝鮮民主主義人民共和国が保有することになる新しい戦略兵器を目撃するだろう」

などと発言したとされる。「わが民族同士」の記事の見出しは「自ら招いた不安と疲れ」。弾道ミサイル発射を警戒する日米の動きを揶揄する狙いがあるとみられる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)