J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

新型肺炎患者の「濃厚接触」とは? 厚労省に定義を聞くと...

   日本でも初めて確認された新型肺炎の患者について、中国国内で別の患者と「濃厚接触」したと厚労省が発表し、ネット上で様々な憶測が出ている。

   一体どんな接触を言うのか、それ以外なら感染しないのか。厚労省の担当課に話を聞いた。

  • 感染の広がりを防げるのか(写真はイメージ)
    感染の広がりを防げるのか(写真はイメージ)
  • 感染の広がりを防げるのか(写真はイメージ)

性的なものなのかとの憶測も流れたが...

「日本にも来ちゃったか...」「追跡調査して感染拡大を防いでほしい」「日本の検疫も対策と強化を」「五輪で拡散するかもわからん」...

   新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者が国内でも確認されたと厚労省が2020年1月16日に発表すると、ニュースサイトのコメント欄やツイッターなどではこんな心配の声が相次いだ。

   発表や報道によると、中国から帰国した神奈川県在住の30代中国人男性が肺炎を発症し、国立感染症研究所村山庁舎で検査したところ、15日夜に新型コロナウイルスの陽性反応が出た。

   男性は、原因不明の肺炎の発症が相次いだ中国・武漢市で滞在歴があった。10日から医療機関に入院していたが、15日に症状が軽くなったとして退院している。

   本人は、関係する感染者が多かった武漢市の海鮮市場には立ち寄っていないと話したが、中国で詳細不明の肺炎患者と「濃厚接触」した可能性があった。

   厚労省サイトに載った「国民の皆様へのメッセージ」では、世界保健機関(WHO)などのリスク評価から、「現時点では本疾患は、家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない事例が報告されているものの、持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はありません」として、「咳エチケットや手洗い等、通常の感染対策を行うことが重要です」と呼びかけている。

   とはいえ、ネット上などでは、どんな場合に感染するのか、などと不安が広がっており、感染する場合の「濃厚接触」について、性的なものなのかと憶測も流れている。

「同居する家族や席が近い同僚のイメージ」

   濃厚接触の定義について、厚労省の結核感染症課は1月16日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。

「明確な定義はありませんが、衣食住をともにする家族とか、仕事で席が近い同僚とかと長くいるというイメージだと考えて下さい。性的なものも含まれていますが、今回は、確認できていません」

   濃厚接触でない場合の感染については、否定的な見方をした。

「中国で発症が確認されて数週間経っても、感染者が増えていませんので、持続的な感染の可能性は非常に低いと考えています」

   インフルエンザなら、周囲に次々に感染して学級閉鎖のような事態が起こるが、新型肺炎はこのように感染者が持続的に増える証拠は確認できていないという。

   死亡率を考えても、過去に多数の死者が出た重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)が3、4割だったのに比べ、今回の新型肺炎は2%ほどと低いとしている。

   ただ、新型肺炎がなぜ限定的な感染なのかは分かっていないとし、「持続的な感染の証拠がないだけで、断言したわけではありません。正直分からないことも多く、まだ持続的な感染の可能性も残っています」とは認めた。

   前出の男性が乗った旅客機については、乗客全員を調べることは考えていないという。座席付近の人や男性の家族もまだ調べていないとし、「『濃厚接触』と考える人を把握するための調査をしています」と話した。

   男性は解熱剤を飲んでいたため検査場のサーモグラフィーが感知しなかったと報じられているが、空港での検疫体制を現状では変えることは考えておらず、これまでの取り組みを引き続き進めていくとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)