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PFP最強王者の次戦に「村田諒太」急浮上の背景 日程、東京ドーム、配信会社...

   ボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(34)=帝拳=とWBA世界スーパーミドル級、ミドル級スーパー王者サウル・アルバレス(29)=メキシコ=との対戦が現実味を帯びてきた。

   海外専門サイト「ボクシングニュース24」が報じている。同サイトによると、帝拳ジムの本田明彦会長と、村田を共同プロモートするトップランク社のボブ・アラム氏が5月の東京開催に向けて米国で会談の場をもつという。

  • 村田諒太(2018年撮影)
    村田諒太(2018年撮影)
  • 村田諒太(2018年撮影)

「村田に行ってしまった」

   ボクシング界のパウンド・フォー・パウンド(PFP)最強王者の次戦を巡り、海外メディアはこれまでミドル級、スーパーミドル級の各王者らの名前をピックアップしてきた。当初はWBO世界スーパーミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)、WBA世界スーパーミドル級スーパー王者カラム・スミス(英国)らとの対戦が有力視されていたが、ここにきて複数の海外メディアが村田との対戦の可能性を指摘している。

   専門サイト「ボクシングシーン」によると、WBA王者スミスが、アルバレスと村田の対戦の可能性の報道を受けて「ショックを受けている」という。スミスのトレーナーであるジョー・ギャラガー氏は「ビリー・ジョー(WBO王者)と同じようにカラムはショックを受けている。誰もがゴールデンチケットを持って待っていたが、村田に行ってしまった」とコメントしている。

   今後の交渉の流れは、本田会長とアラム氏の間で条件などの詳細を詰め、アルバレスをプロモートするゴールデンプロモーションズのオスカー・デラホーヤ氏と交渉に臨むとみられる。これにアルバレスと契約を結んでいる動画配信サービス「DAZN」の意向を含めて交渉が行われる見込みだ。「DAZN」は米国市場で苦戦を強いられており、アジアの市場拡大、なかでも日本市場の拡大を狙っていることから東京開催で合意する可能性は高い。

「東京ドームは象徴的な会場」

   アルバレスはここ数年、メキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(5月5日)」に合わせる形で、5月5日付近で試合を行ってきた。アラム氏も5月2日に東京ドームでの開催を希望している。かつてヘビー級統一王者マイク・タイソンが東京ドームで2度、リングに上がっており、1990年2月にジェームス・ダグラス(米国)に敗れプロ初黒星を喫した。ボクシング界では「世紀の一戦」として語り継がれ、アラム氏は「東京ドームは象徴的な会場」という。

   日本ボクシング史に残るようなメガファイトに東京ドームはふさわしい会場となる。ただ一方で5月中の開催となれば会場のスケジュール問題が立ちはだかる。東京ドームの公式サイトによると、5月2日はプロ野球の巨人対広島戦が予定されている。この前後の1日、3日も同カードが予定されている。また、5月中のスケジュールをみると、土曜、日曜日はプロ野球、コンサートなどで全て埋まっている。

   東京ドームの公式サイトによれば、1月27日現在、ゴールデンウィークの5月4日から7日まではイベントが入っていない。東京ドーム開催にこだわり週末開催を回避するのならば「シンコ・デ・マヨ」に合わせて5月5日前後で開催の可能性も。東京ドーム以外の選択肢としては、関東圏で1万人以上の収容が可能な横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナなどが候補に挙がる。

海外メディアは村田VSアルバレス戦に辛辣な声

   両者の対戦において現実的な問題として浮上するのが、アルバレスの体重問題だろう。アルバレスは昨年11月にライトヘビー級まで階級を上げてWBO世界ライトヘビー級王座を獲得している。この王座はすでに返上しているものの、ミドル級よりも6キロ以上重いライトヘビー級仕様に仕上げた体を、いかにしてミドル級まで絞り込んでベストコンディションに持っていくことができるかが大きな課題となる。

   また、海外の専門メディアのなかには、村田VSアルバレス戦に「価値」を見いだせないと指摘するものもあり、村田の実力に疑問符をつけるメディアもある。実際のところ、海外メディアでは、村田は五輪金メダリストの世界王者だがプロキャリアにおいて強敵との対戦がないとして、世界のミドル級、スーパーミドル級のトップ選手らと比較すればその評価は決して高くない。

   アルバレス戦が実現すれば、村田のプロキャリアで最強の相手を迎えることになる。村田にとって世界に名を売る絶好の機会であり、34歳の年齢的にも最後のチャンスになるだろう。5月の東京ドーム開催に関しては、クリアすべきいくつかの課題が残るものの、実現となれば間違いなく日本ボクシング史に残る一戦となる。30年前、無敵のタイソンがキャンバスに沈み世界を震撼させた。村田はPFP最強王者にどう立ち向かうのか。両陣営の今後の交渉に注目される。