キャッシュレス決済にとって、2020年はターニングポイントになりそうだ。
先日、メルペイとOrigami Payの統合計画が発表された。また秋には、PayPayを擁するヤフーがLINEと経営統合する予定。乱立する「○○Pay」に、再編のきざしが見えてきた。
メルカリは2020年1月13日、子会社のメルペイがOrigamiを買収し、グループ入りする予定だと発表した。2月に株式譲渡を行い、その後は「一定の周知期間」を経た後に、Origami Payのサービスやブランドを「メルペイ」に統合するとしている。
両社は背景のひとつに、スマホ決済事業者間の競争激化などを挙げている。19年2月スタートのメルペイは、Origamiが運営するOrigami Pay(16年開始)より後発だが、各社がポイント還元などで体力をすり減らすなかで、より大きな塊を作るべく、ひとつになった形だ。
メルペイの強みは、なんと言っても、フリマアプリ「メルカリ」の経済圏を活用できることにある。月間約1450万ユーザーを擁するメルカリと、同じアプリで利用できる利便性もあり、メルペイは開始半年ちょっとで500万ユーザー(19年10月)を突破した。ちなみに、ライバルのPayPay(18年10月リリース)は、開始半年時点で、登録者数が累計約600万人。2度にわたる「100億円キャンペーン」があり、その間にメルペイが参入したことを考えると、この「伸び」は注目に値するだろう。
一方、Origamiの得意分野は、他社よりもBtoB、企業向けの戦略に力を入れていることだろう。18年1月には、セゾンカード・UCカードの会員向けスマホアプリに、「セゾン/UC Origami Pay」を提供。独自アプリではなく、既存アプリに組み込むスタイルを提案した。19年9月には、すかいらーくや吉野家、フジテレビなどと組んで、決済機能を提供する「Origami Network」も開始。11月開始のトヨタ自動車などによる「TOYOTA Wallet」にも、決済システムを提供している。
もっとも、1月23日のグループ入り発表では、サービスはメルペイに統合予定とされている。これらの取り組みが今後どうなるかについては、「お客さま・加盟店の保護を最優先に、各事業者様と別途協議の上、今後の対応を検討してまいります」とする程度だった。なお「セゾン~」「UC~」は、すでに19年10月の時点で、20年1月30日にサービス終了すると発表されている。
今年は、もうひとつ大型統合の可能性がある。PayPayとLINE Payだ。Zホールディングス(ヤフー親会社)とLINEは、10月までの経営統合を目指している。各ブランドの去就については、10月以降に検討される予定だが、同じ分野で「食いあう」両者は、ブランド統合の対象になってもおかしくない。大小問わず、各社がしのぎを削るキャッシュレス業界。生き残りをかけた動向に、2020年は注目が集まりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)