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【追記】「手作り目薬」でサンケイリビング謝罪 炎上の読者ブログは「監視体制強化」へ

   女性向けニュースサイト「あんふぁんweb」で、不適切な内容の記事を配信したとして、運営するサンケイリビング新聞社(東京都千代田区)は2020年2月4日、「深くお詫び申し上げます」と謝罪した。記事では目薬の作り方を紹介し、SNS上で安全面を懸念する声が続出していた。

   同サイトでは、ほかにも問題があるとみられる記事が複数見つかり、後にそれらの一部も削除された。

  • あんふぁんメイトの記事一覧(一部加工)
    あんふぁんメイトの記事一覧(一部加工)
  • あんふぁんメイトの記事一覧(一部加工)
  • 問題となった「手作り目薬」記事(現在は削除済み)

読者をライター化

   あんふぁんwebは、幼稚園で配布している同名のフリーペーパーの電子版。運営会社は、ライザップが80%、フジ・メディア・ホールディングスが20%の株式を持つサンケイリビング新聞社だ。

   2020年1月の媒体資料によれば、同サイトの月間ページビューは500 万、会員数は10万6000人。19年にはニュースアプリ「スマートニュース」から、「あんふぁんメイトという読者コミュニティでの投稿記事が特徴で、子育てという共感を呼ぶコンテンツを中心に、幼稚園イベントレポートなど、ユーザーの支持を集めた」などとして表彰された。

   執筆体制は、"ママライター"の22人、読者代表の「あんふぁんメイト」の66人だという。

   問題となったのは、あんふぁんweb上で公開された、あんふぁんメイトによるブログ記事「自宅にあるものだけで簡単!!手作り目薬を作りました」。

   記事では、市販の目薬は防腐剤が多いため、手製の目薬を作ったと報告する。原料の紹介とともに「水道水は塩素が入っているので必ずミネラルウォーターや浄水した水、ウォーターサーバーの水を使用すること!」「塩は塩化ナトリウムの入っていないものを選ぶ(スーパーなどで売っているものはほとんど塩化ナトリウムが入っているので注意!)」などと伝えた。

   記事は18年8月に公開されたものの、ツイッターで20年2月4日に転載されると、安全面への懸念などが続出した。

   サンケイリビング新聞社は同日、「誤った内容があったと判断した」として記事を削除。どこが謝りだったかには触れず、「関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

Wi-Fiは悪影響?ワクチンは危険?

   あんふぁんメイトの記事は「ブログ」との体裁だが、「日々のちょっとためになる情報を発信します」と標榜し、通常の記事同様、読者を強く意識した内容になっている。最新のブログは、あんふぁんwebのトップページに掲載される。

   専門的なテーマを扱うブログもあり、前述の「手作り目薬」以外にも"質"が問われる記事が見つかる。

   例えば、「【寝てる間はWi-Fiをオフにしよう】子供への影響や対策」では、Wi-Fiは人に悪影響があると言われているとし、具体的には「脳波への影響(睡眠障害)」「子供の発達障害の恐れ」「精子の減退・卵巣への影響」を列挙している。ただ、根拠は示されていない。

   「インフルエンザウイルスに効果実証済み!これで予防すべし」(現在削除済み)では、市販のオーガニック食品(記事では商品名に言及)にインフルエンザウイルスの不活化作用があり、感染予防として推奨している。こちらも根拠は明記されていない。

   そのほか、インフルエンザワクチンの危険性を訴えたり、効果をめぐり意見が分かれる「手のひら(手あて)療法」「ホメオパシー」「経血コントロール」を紹介したりするブログ記事が見つかった。

   サンケイリビング新聞社に(1)記事のチェック体制の有無(2)信頼性の担保方法(3)今回の件を受けて、再発防止策などを講じる予定はあるか――などを尋ねたが、期日までに回答はなかった。

   なお、取材を申し込んだ後、前述の「Wi-Fi」と「手あて療法、ホメオパシー」の記事は削除された。「目薬」の記事と違い、ページ上に削除理由は書かれていなかった。

   (6日19時20分追記)フジサンケイ新聞社は同日、同社公式サイトで「ブログ記事削除についてのご報告」と題した声明を発表した。

   記事削除の理由を「一部報道を含む外部からのご指摘等を受け、当該記事の筆者に確認したところ、添加物のない自然塩を使うことを意図し『塩化ナトリウムの入っていないもの』と誤記載したという事実が確認されました。また、当社としては、目薬およびコンタクトレンズの保存液等を自作するという記事の主題そのものについての検討が不足していたと考え、当該記事を削除いたしました」と説明。

   記事のチェック体制は「社内の監視(モニタリング)および読者からの記事コメント等を通じたご指摘等にもとづき、当社の運用基準に抵触すると判断した場合は、記事を修正・削除することがあり、過去にもそのような対応を行っております」としており、再発防止として「さらに記事の監視体制の強化と精度の向上に取り組んでまいります」と誓った。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)