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おサイフケータイの復権なるか? コード決済に挑む「マイル」協業の勝算

   PayPay、メルペイといったコード決済の勢力が強まるなか、「おサイフケータイ」各社が生き残りをかけて手を組んだ。

   枠組みに加わるのは、ソニーが開発したICカード技術「FeliCa(フェリカ)」を採用する、プリペイド型電子マネー4種。新たなタッグは、どんな変化を及ぼすのだろうか。

  • 「タッチ」回帰なるか
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楽天Edy、nanaco、Suica、WAONが対象

   新サービス「おサイフマイル」は2020年4月から6月まで、最大1万人を対象に実証実験する予定で、2月12日から応募を受け付けている。協業を主導するのは、フェリカネットワークス(以下フェリカ社、東京都品川区)。ソニー子会社が51%、NTTドコモが34%、JR東日本が15%を出資する企業だ。

   対象となるのは楽天Edy、nanaco、Suica、WAONの4種。キャンペーン特設サイトによると、利用額と種別の数に応じて「マイル」がたまり、月々の上位獲得者にはボーナスマイルも付与される。たまったマイルは電子マネーやポイントに交換できるほか、マイルが当たるくじも引けるとしている。

   還元率は現時点で公表されていないが、日本経済新聞(2月7日電子版)によると、電子マネーへの交換は0.1%からで、原資はフェリカ社が負担するという。「1000円で1円」をどう見るか。利用頻度や額によって評価は割れそうだが、少しでも多くもらえるのはうれしい。

   フェリカ社は、これまでもAndroid搭載の「おサイフケータイ」を対象に、独自のポイント還元を行うアプリ「ラッキータッチ」を展開してきた。50円以上買い物すると、1日1回ゲームに参加できるサービス。抽選で最大1000ポイント(もしくは1000円分のチャージ)がプレゼントされる。実証実験の募集開始にともない、2月12日にアプリが「おサイフライフ+(プラス)」に衣替えしても、ひとつの機能として残っている。

iPhoneでは使えない

   おサイフマイルとラッキータッチとの違いは、フェリカ社独自の「マイル」を介するかどうか。これまでは楽天Edyであれば「Edyギフト」、Suicaであれば「JREポイント」と、電子マネー事業者のポイント(チャージ)が直接たまった。しかし、新サービスではマイルをかませる必要がある。手間がかかる一方で、別の電子マネーでたまったマイルを、特定のポイントサービスにまとめられるメリットもある。

   アプリのリニューアルに合わせて、カードタイプの電子マネーでも「ラッキータッチ」が利用できるようになった。より間口は広がったが、依然としてiPhoneには対応していない。iPhoneではモバイルSuicaが利用できるが、これはあくまで「Apple Pay」の一機能であり、「おサイフケータイ」に対応しているわけではないからだ。

   では、おサイフマイルは、「○○Pay」に対抗する起爆剤になるのだろうか。還元率や利便性、対象機種......と、ここまで見てきた限りだと、まだ優位性を見出すのは難しそうだ。実証実験が終了する6月には、政府主導のキャッシュレス還元事業も終わる。本格サービス開始時に、どんなインパクトを打ち出せるか。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)