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ロマゴンは「はるかに小さい挑戦者」なのか 元PFP最強王者が挑む「階級の壁」

   ボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトル戦の記者会見が2020年2月26日、米テキサス州ダラスで行われ、王者カリド・ヤファイ(30)=英国=と挑戦者ローマン・ゴンザレス(32)=ニカラグア=が対面した。

   タイトル戦は2月29日(日本時間3月1日)に当地で行われ、元パウンド・フォー・パウンド(PFP)最強王者が生き残りをかけて26戦全勝王者に挑む。

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復帰後わずか3カ月で世界戦のチャンスが

   ロマゴンは昨年12月に1年3カ月のブランクを経てリングに復帰。スーパーフライ級を1ポンド(約450グラム)上回る116ポンド契約の8回戦に臨んだ。ディオネル・ディコス(フィリピン)相手に持ち前の強打を見せつけ、2回TKOで勝利し完全復活をアピール。そして復帰後わずか3カ月で世界戦のチャンスが巡ってきた。

   ロマゴンの世界タイトル挑戦について当初、フライ級で再スタートを切るのではないかとの見方もあった。ミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級を制覇し、PFP1位の座を獲得したこともあるが、4階級目となるスーパーフライ級の世界戦では1勝2敗と負け越しており、体格面での限界を指摘する関係者もいた。

   実際、ミニマム級からフライ級時代までパワーで押し切る場面が多くみられたものの、スーパーフライ級に階級を上げてからはそれまでのパワーボクシングが影を潜めた。プロキャリアの2敗はいずれもシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)に喫したもので、2017年9月のリマッチではキャリア初のKO負けを喫している。

ベルト奪取ならば井岡との王座統一戦も

   王者ヤファイは26戦全勝を誇り、15KOをマークしている。決してハードヒッターではないものの、アマチュア仕込みのテクニックには定評がある。アマチュア時代はフライ級で活躍し、プロ入り後はスーパーフライ級を主戦場としている。身長はロマゴンより3センチ高い163センチで、体格では優位に立っている。

   記者会見で両者は顔を合わせたが、体格の差は歴然だった。海外の専門サイト「ボクシングニュース24」は、会見の模様を報じ、「ヤファイは、はるかに小さいチャレンジャーのゴンザレスを圧倒した」と伝えている。さらに「ヤファイの身長は1インチ(約2.5センチ)高いと(資料に)記載されているが、2~3インチ離れているように見えた」と報じた。

   元PFP最強王者にとってこの一戦は重要な意味を持っている。ベルトを奪取すれば、WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(Reason大貫)、WBC世界スーパーフライ級王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)ら他団体との王座統一戦の可能性が出てくる。一方で負けた場合、元4階級制覇王者に進退問題が浮上する可能性もある。

「決してまばたきをしないで。最高の試合になるから」

   「ボクシングニュース24」の特集記事では、「ゴンザレスが115ポンド(スーパーフライ級)に留まるのならば、彼は、彼の体がトップ選手を打ち負かすほど大きくなく、十分ではないという事実を受け入れなければならない。ヤファイに負ければ、ゴンザレスが引退の時を迎えるかもしれないという明確なサインとなる」と引退の可能性にまで言及している。

   記者会見に臨んだロマゴンは「最高のコンディションです。このチャンスを利用して勝つ」と勝利を宣言。一方迎え撃つヤファイは「私はゴンザレスを尊敬している。厳しい戦いになるだろう。出来る限りのことをする。決してまばたきをしないで。最高の試合になるから」と意気込んだ。

   かつて重量級のスター選手を抑えてPFP1位に君臨した元最強王者は現在、32歳。米国で最も権威ある老舗専門誌「リングマガジン」のスーパーフライ級ランキングでは、4位のヤファイに対してロマゴンは6位となっている。50戦48勝(40KO)2敗のニカラグアの英雄は、スーパーフライ級で再び世界の第一線に舞い戻ることが出来るのか。2月29日(日本時間3月1日)、注目のゴングが鳴らされる。