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厚労省イベント直前の異例光景 加藤大臣は「出席未定」→「欠席」、報道陣にはマスク配布

   厚生労働省は2020年3月2日、東京都内で「上手な医療のかかり方アワード」表彰式を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中で、出席が予定されていた加藤勝信厚労相は出席を見合わせた。

   式は事前の案内でマスク着用など、新型コロナウイルス感染予防を呼びかけ、受付にもアルコール消毒を設置。会場内では開会直前、持っていない人にマスクを配布するなど基本的な予防策が徹底して敷かれた。

  • 「上手な医療のかかり方アワード」受賞者と、デーモン閣下、小島政務官ら
    「上手な医療のかかり方アワード」受賞者と、デーモン閣下、小島政務官ら
  • 「上手な医療のかかり方アワード」受賞者と、デーモン閣下、小島政務官ら
  • (左から)デーモン閣下、厚生労働大臣賞受賞のブラザー工業、小島政務官
  • 開会前には進行係からマスクに関するアナウンスがなされた

「お持ちでない方は受付にマスクを用意しています」

   医療のかかり方の普及・啓発や、医療従事者の負担軽減にむけた取り組み、医療受診の教育に関し優れた取り組みをしている企業・団体・自治体を表彰し、その事例を共有する「上手な医療のかかり方アワード」。厚労省が主催し、日本医師会と健康保険組合連合会の後援を受けている。

   事前に新型コロナウイルス感染対策で、一般参加なしと案内された。参加するメディアに対しては「当日は手洗い、咳エチケット等の一般感染対策の徹底へのご協力をお願します」「手洗い、手袋、マスクの着用等へのご協力をお願いします」と呼びかけ、武漢市を含む中国湖北省への渡航歴や、その帰国者との濃厚接触歴、発熱など風邪症状がある場合は、「参加をお控えいただくようお願いします」としていた。

   18時の開会直前には、進行係から「いまマスクをしていない方はマスク着用をお願い致します。お持ちでない方は受付にマスクを用意しています」とアナウンス。つけていなかった報道関係者の十数人程度が、会場内で受付係の前に列をなし、マスクを受け取っていた。会場内を見回すと、数十人集まった報道陣は数人を除き、ほぼ全員がマスクを着用している。

   17時30分からのメディア受付時には、予定していた加藤厚労相の出席は「未定」で、「開会時刻が遅れる可能性もある」と説明。この日は午後まで参院予算委員会が続き、小中高校の一斉休校要請をはじめとした新型コロナウイルス感染防止の議論が紛糾した。

   ギリギリまで調整を続けた模様だが、加藤氏や、橋本岳、稲津久・両副厚労相も、今回の表彰式出席を見合わせることになったとアナウンス。式には小島敏文政務官が出席した。

「感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することを避けていただくこと」

   小島政務官は、加藤氏名義のあいさつとアワード最優秀賞の表彰状を読み上げ、授与した。あいさつでは「医療のかかり方」と新型コロナウイルスに関して次のように述べている。

「新型コロナウイルス感染症による国内の被害を最小限に抑えるため、極めて重要な局面を迎えています。政府としましては、国民の皆様に、感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することを避けていただくこと、医療のかかり方に関するご協力をお願い致しました。政府、地方自治体、医療関係者、事業者、そして国民の皆様と一丸となって、この新型コロナウイルス感染症に立ち向かっていきたいと考えております」

   厚労省は18年、医療従事者の過度な負担緩和を目的に「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を開催。19年11月にはミュージシャンのデーモン閣下が加藤氏から「上手な医療のかかり方大使」に任命され、情報発信を進めている。今回の表彰式にも白衣姿のデーモン閣下が出席し、厚生労働大臣賞(最優秀賞)を受賞したブラザー工業と、厚生労働省医政局長賞(優秀賞)を受賞した6部門12団体それぞれに、トロフィーを授与した。