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イベント中止で「死活問題」のアイドル界 「ネットサイン会」が救世主になる?

   エンタメ業界に大打撃をもたらしている、新型コロナウイルス感染防止のためのイベントの自粛。アイドル界も無縁ではなく、ライブや宣伝イベントが数多く中止・延期となっているが、ネットを通じてファンとのコミュニケーションを続けようという動きが生じている。

  • リアルイベントの自粛が相次ぐアイドルとファン、ネットを通じて交流は続く(画像はイメージ)
    リアルイベントの自粛が相次ぐアイドルとファン、ネットを通じて交流は続く(画像はイメージ)
  • リアルイベントの自粛が相次ぐアイドルとファン、ネットを通じて交流は続く(画像はイメージ)

「接近イベント」が行えず...

   2010年代のアイドル界は、握手会・リリースイベント・チェキなどでファンがアイドルに「会える」機会を増やしてファンを獲得し、CDリリースなどの定期的な機会にイベントを繰り返してファンとのコミュニケーションを図ってきた。このような、通称「接近イベント」を繰り返すサイクルがアイドルのビジネスモデルとして確立されていた。

   しかし、イベントやライブが、ウイルスの感染をもたらす恐れで軒並み中止・自粛を余儀なくされている現状は、特典やグッズ類の売り上げも見込めず、アイドルとファン双方にとってもはや「死活問題」といえるだろう。そこで代わりの動画配信や、ネットを通じたイベントの開催に活路を見出そうとしている。

   少しでもファンとのコミュニケーションを続けるために、ネットを介してイベントを行うアイドルグループやアーティストが現れている。方法のひとつが「ネットサイン会」だ。

   これは、ツイキャスなどの動画配信アプリを通じてアイドルがサインする映像を視聴者に生配信する。ファンの側はあらかじめ書いてほしい名前をアイドル側に伝えておき、サインをしてもらうファン以外のファンも視聴できる。サインをもらう権利は握手券と同様にCDに付属していたり、抽選システムをとっていたりする。

わーすた、虹コン、LinQ...続々と開催

   ネットサイン会自体はもともと一部のアイドル・アーティストでも開催事例があって普及しつつあり、とりわけローカルアイドルにとっては地元以外のファンとも遠距離で交流を続けられるメリットがあった。そこに、2月下旬以降イベントの中止が相次ぐと、代替として急遽開催に踏み切るアイドルが増えつつある。

   「わーすた」は予定していた3月中旬までのベストアルバムのリリースイベントが中止になった代わりに、3月7日・8日にネットサイン会を開催する。その他、「転校少女」「虹のコンキスタドール」「LinQ(リンク)」なども中止イベントの代わりにネットサイン会を開催済みもしくは開催予定であり、接近イベントの代替機能に注目しているようだ。リアルでの握手会・サイン会等とともに今後定着していくことも予想される。

乃木坂は2期生ライブを配信で「再現」

   中止になったライブの代わりに、無観客ライブを配信するアーティストが増えているが、乃木坂46では3月7日に東京・国立代々木第一体育館で開催予定だった2期生ライブを、「幻の2期生ライブ@SHOWROOM」として動画配信サービスSHOWROOMで、実際のライブ開演予定時間と同じ3月7日18時から特設スタジオより生配信する。

   といっても、実際にスタジオで歌唱するのではなく、当日披露予定だったセットリストに従ってミュージックビデオや過去のライブ映像と、出演予定だった2期生8人(北野日奈子さんはインフルエンザで不参加)のMCで番組を進める予定である。

   また販売予定だったグッズが当日にSHOWROOM経由で販売される上に、推しの名前が入ったタオルを持ったファンアバターが無料配布されるので、自分が誰を応援しているのかをSHOWROOM上でアピールしながら配信を楽しめる仕掛けだ。リアルのイベントが無くても配信イベントによってコミュニケーションを続け、ファン側も引き続きグッズ購入などで応援姿勢を示して、自粛期間を乗り切ろうとしている。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)