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水陸両用「ホーバークラフト」復活へ 大分空港アクセス、勝算は...?

   船体の下から大量の空気を出して浮上させ、水陸の両方で運航できる「ホーバークラフト」が、早ければ14年ぶりに国内で復活することになりそうだ。ホーバーは大分空港(国東市)が現在の場所に移転した1971年から、大分市内と空港を結んできた。これが国内では唯一の路線だったが、2009年に廃止されていた。

   現在は市内から空港へのアクセスはバスが主流で、別府湾を迂回するルートで約1時間かかる。インバウンド需要で大分空港の利用者が増え、アクセスが不便だという声が高まったこともあって、別府湾を縦断して時間短縮できるホーバーが「再登板」する見通しになった。

  • 2009年まで大分空港と大分市内はホーバークラフトで結ばれていた(2007年撮影)
    2009年まで大分空港と大分市内はホーバークラフトで結ばれていた(2007年撮影)
  • 2009年まで大分空港と大分市内はホーバークラフトで結ばれていた(2007年撮影)
  • ホーバークラフトにはタラップを横付けして乗り込む仕組みだ(2007年撮影)
  • 大分市内の発着場と大分駅の間にはシャトルバスが運行されていた(2007年撮影)

空港と大分市内の発着場を25分で結ぶ

   ホーバークラフトは県などが出資する第三セクターが運営してきたが、リーマンショックの影響で利用者が減少し、三セクは経営破綻。18年度には大分空港に利用者数が16年ぶりに200万人を突破。広瀬勝貞知事が2020年3月4日の定例会見で

「やっぱり空港アクセスをもうちょっと便利にしきゃといけないな、という思いがあった」

として、ホーバークラフト復活の計画を明らかにした。

   県はアクセス改善策として、高速船とホーバーを検討。高速船は所要時間が約40分、県の負担が115~200億円、整備期間が11~12年かかると試算。対してホーバーは、それぞれ約25分、75~85億円、3~4年と、比較的好条件だった。

   かつて運航されていたホーバー4隻はすべて売却され、少なくとも3隻はすでに解体された。国内メーカーも製造を打ち切っている。そのため、県が国外から予備を含めて3隻を購入し、市内の発着場を整備する。発着場の場所は、09年まで利用されていた西新地地区の海沿いの設備を再整備するか、大分港の西大分地区に新たに整備する方向で検討している。いずれのケースでも500台規模の無料駐車場を整備する。発着場は大分駅から車で10~15分程度離れているため、アクセス用のバスも走らせる。

ホーバーと施設を県が所有する「上下分離」なら大丈夫なのか

   ホーバーと発着施設は県が所有し、それを民間にリースして運航する「上下分離方式」を採用する。今後、運航事業者を募集し、23年以降の運航開始を目指す。県では年間利用者30~40万人台を想定。ビジネス需要に加えて、唯一のホーバー路線としての観光需要も見込む。

   広瀬知事は、

「『ホーバー面白かったけど、どうなったの?』といまだに聞かれるんでですね...。またようやく『面白いよ』と言えるようになるかな、と楽しみ」

と期待を込めた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)