J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

公演再開支える、宝塚ファンの「団結力」 率先して予防、入り待ち出待ちも自粛...「我々も協力しなければ」

   宝塚歌劇団は、2020年3月9日から宝塚大劇場で、10日から東京宝塚劇場で公演を再開している。新型コロナウイルス感染拡大防止のため2月29日から休止していた公演の再開に踏み切った。

   未だ多くの音楽ライブなどが公演の中止・延期を決定し、エンタメ業界は先が見えない状況だが、1公演に約2000人が観劇する劇場で感染者を出さないよう、ファンも再開に感謝しつつ、団結力を高めている。

  • 3月10日より公演を再開する東京宝塚劇場
    3月10日より公演を再開する東京宝塚劇場
  • 3月10日より公演を再開する東京宝塚劇場

最短の中止期間で再開

   政府の感染症対策本部から2月26日に大規模イベントの自粛要請が行われると、宝塚・東宝・松竹・劇団四季など大手の興行会社は翌日以降、そろって公演の中止を決定した。

   宝塚では2月29日~3月8日まで宝塚大劇場・東京宝塚劇場・御園座・東京建物Brilla HALLでの公演を全て中止していたが、3月9日の宝塚大劇場での星組公演千秋楽から公演を再開した。東宝・松竹・劇団四季は15日までの中止期間の延長を発表しており、宝塚がいちはやく再開した形だ。

   といっても新たに感染対策を施しており、「劇場入口にサーモグラフィーを設置し、37.5度以上の観客は入場を断る」「場内換気の強化」「軽食提供の取りやめ」「客席降り演出の中止」などの対策を実践している。9日の公演を観劇した観客も大半がマスクを着用し、マスクを持っていない観客に配布するファンもいたと報じられた。

   公演中止から再開までに世に印象づけたのは、宝塚ファンの「団結力」だった。

入り出待ちを自粛、中止期間中も愛を示す

   通常、公演中の劇場周辺では団員の入り待ち・出待ちをするファンで毎日にぎわい、団員のファンクラブによる「お茶会」という団員とファンの交流イベントもホテルなどで行われる。しかし新型コロナウイルスの国内感染者が増え始めた2月上旬時点で、雪組東京公演での入り待ち・出待ちやお茶会は自粛となっており、既にファンは自主的に感染者を出さないように努めていた。

   公演中止から再開までの間、ツイッターには「#愛してるよ宝塚歌劇団」のハッシュタグでの投稿が相次いだ。阪神大震災や東日本大震災からの公演再開の思い出や、劇団員のみならず劇場スタッフの対応にも感謝する投稿もあり、また「劇団の本気を感じた」「まだ不安もある中で再開してくださるのだから、我々ファンも協力しなければ」「もしちょっとでも具合が悪かったら行かないと固く決心した」など、公演で感染者を出さないよう最大限の努力をするという一体感と団結力がファンの間で形成されている。

   もとより宝塚の観客は固定ファンが多く熱量が高い。加えて、私設のファンクラブがスターを応援するといった独特のルールが確立されており、ファンの行為が宝塚全体の評判につながるといったモラルの元に行動するファンも少なくない。感染者を出さないため、モラルの高さを示そうという意識がファンには強くあるようだ。

   雪組東京公演は3月22日まで行われ、また宝塚大劇場では3月13日から4月20日まで花組公演が予定されており、前出の感染防止策を当面施行しつつ上演予定である。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)