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生放送で「激しく口論」 古市憲寿氏と伊藤隼也氏、「とくダネ!」で対立

   新型コロナウイルス問題を扱った情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)で、社会学者の古市憲寿氏と医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が、激しい口調で言い争う場面があった。

   視聴者からはツイッターで、「口論やばすぎ」といった感想が寄せられている。

  • 「とくダネ!」でのバトルが話題に(フジテレビ公式サイトより)
    「とくダネ!」でのバトルが話題に(フジテレビ公式サイトより)
  • 「とくダネ!」でのバトルが話題に(フジテレビ公式サイトより)

「インフルエンザワクチン」の話を持ち出し...

   2020年3月12日朝放送の「とくダネ!」は、WHOによる「パンデミック(世界的な大流行)に相当する」宣言を受け、東京五輪・パラリンピック開催の是非などの問題を取り上げた。開催問題について伊藤氏は、グローバルな影響や「日本人が何を共有するか」を考える必要があり、そのためには「現実のリアルなデータが出てこないといけない」として、「無理だったら撤退するのも世界のためになると思っている」と述べた。

   ここで、番組の「スペシャルキャスター」でもある古市氏が、

「でも伊藤隼也さんがデータとか言っても、ちょっと何か信じられないのは、なんかインフルエンザワクチンとかにも反対してるじゃないですか」

と「インフルエンザワクチン」の話を持ち出し、以降、次のような反論と再反論のやりとりが続いた。

伊藤氏「僕はインフルエンザワクチンには反対してないです」
古市氏「でも、それは...」
伊藤氏「僕がこういう場でインフルエンザのワクチンに反対してるって言ったことがないので」
古市氏「ツイッターで言ってましたよね?」
伊藤氏「ツイッターでインフルエンザのワクチンに反対してる、とは言ってません」
古市氏「効果がないってことを言ってましたよね?」
伊藤氏「僕がやらないと言ってるだけです」
古市氏「効果がないって言ってましたよね?」
伊藤氏「効果がないとは言ってないです」
古市氏「ちょっと伊藤さんの言うデータ、科学的っていうのは、ちょっと分かんないんですけど...」

と、ここまで、新型コロナではなく「インフルエンザワクチン」に関するやりとりが繰り広げられた。この間、互いに相手の発言が終わるのを待つことなく、発言後半から反論・質問を始めるという、緊迫感のある展開となっていた。

伊藤利尋アナが「ちょっといいですかね」と中断

   ここで伊藤氏は話題を転じ、

   伊藤氏「いや、僕は治療現場から話を聞いてるんで、古市さんみたいに何のデータもないところで『安全だ』と言うことの方が問題だと思います」

古市氏「僕も勿論、根拠があって言ってますけど」
伊藤氏「じゃあ、どんな根拠ですか?言ってください」
古市氏「それこそ専門家会議で発表された情報...」
伊藤氏「専門家会議はちゃんと言ってますよね、4日が2日になって翌日でもいい、PCR検査が必要だ。根拠だと仰るんであれば古市さんの言ってることは...」
古市氏「PCR検査が必要ない、って僕言いました?」
伊藤氏「PCR検査を多くの人がやる必要ないって...」

   と、ここで伊藤利尋アナが「ちょっといいですかね」とやりとりを中断し、スタジオに来ている医師に話を促した。この際、スタジオには笑いが漏れていた。

   この後の番組内では、古市・伊藤両氏による直接バトルは再開されなかった。

   PCR検査と「安全だ」をめぐる両者の指摘はかみ合わないところもあり詳細不明だが、古市氏が指摘した「インフルエンザワクチン」をめぐる伊藤氏の過去ツイートに関しては、「インフルエンザワクチン効果無し!」(2019年1月18日)

   などのツイートがあることを、複数のツイッターユーザーが番組後に指摘している。J-CASTニュース編集部が検索したところ、12日午後時点で同様のツイートが確認できた。19年1月18日ツイ―トについては、「予防接種しまくった」にもかかわらず、小学校の学級・学年閉鎖や病院の病棟閉鎖が起きているというツイッターユーザーのツイートに反応して投稿されていた。

口論の「決着」見たかった人も

   放送後、伊藤氏は自身のツイッター(公式マ―クはなし。2010年4月から利用)で

「古市くん勉強した方が良い」

として、「健康な成人に対するインフルエンザ予防のためのワクチン」というタイトルの資料へのリンクを張った。

   資料を見てみると、「Cochrane(コクラン)」サイトに掲載された「和訳レビュー」だった。コクランは医療論文の「システマティック・レビュー」を行っており、自身のサイトについて、「医師、看護師、患者、介護者、研究者、資金提供者に関係なく、コクランが提供するエビデンスはあなたの医療知識と意思決定をより良いものにする強力なツールとなります」などと説明している。

   伊藤氏が示した「健康な成人に~」は、2018年12月公表の「Demicheli V」らが著者のレビューの和訳(このエビデンスは16年12月31日現在のもの、との注記あり)で、「要点」部分には、

「不活化ワクチンは、インフルエンザやインフルエンザ様疾患を患う健康な成人(妊婦を含む)の割合を減少させるが、その影響は軽微なものである。インフルエンザの流行期におけるインフルエンザによる労働時間の減少やインフルエンザの重篤な合併症に対する不活化ワクチンの効果はわかっていない」

と書いている。

   一方の古市氏のツイッターは12日夕現在、伊藤氏に対する反応らしきものは見当たらない。

「とくダネ!」での2人のやりとりについてはツイッターで、
「古市憲寿と伊藤隼也の口喧嘩ヤバかったな」
「口論やばすぎ」

といった指摘が出ていた。中には、2人の「対決」の決着を見たかったのか、途中で割って入った伊藤利尋アナに対し、「愚行」「イケてなかった」と不満をもらす人もいた。