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石破氏も「五輪延期・中止」に言及 通常開催推進の流れに変化が

   自民党の石破茂元幹事長が、今夏に開催を予定する2020年東京五輪に関して、延期、中止に備えた準備の必要性に言及した。2020年3月11日にロイター通信のインタビューで自身の見解を示した。石破氏は東京五輪の開催可否、延期については国際オリンピック委員会(IOC)に権限があるとした上で、五輪が延期、中止された場合に備えて今から準備する必要性があるとした。

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国内のスポーツイベントは一斉に自粛ムードに

   石破氏の発言を受けて、英国紙「ガーディアン」(WEB版)は「日本はオリンピックがキャンセルされる可能性に備えなければならない」と題した記事を掲載。新型コロナウイルスの感染拡大により、ギリシャのオリンピアでの採火式が無観客で行われるなど、各種五輪イベントの縮小、複数競技の五輪予選トーナメントなどが中止や延期となっている事実を指摘している。

   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は2月26日に今後2週間の大規模イベントの自粛を要請した。以降も事態は収まる気配が見られず、政府は3月10日に大規模イベントの自粛期間要請を10日程度延長した。プロ野球、サッカーなど国内のプロスポーツが延期の措置を取り、第92回選抜高校野球大会は史上初の中止を決定。プロアマ問わず、国内のスポーツイベントが自粛のムードに傾いている。

   政府が大規模イベントの自粛を要請するなか、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が11日、新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な大流行を意味する「パンデミックと呼べる状態だ」と述べた。東京都の小池百合子知事は、テドロス事務局長の発言を受け、東京五輪開催への影響について言及。「(開催の)流れに影響しないかと言えば、全くしないとは言えない」としている。

組織委員会の「身内」からも延期の声が

   新型コロナウイルスの感染が世界的に広がりをみせている状況で、2020年東京五輪組織委員会は一貫して通常開催を目指して準備を進める方針を貫く。国際オリンピック委員会(IOC)も同様に、中止、延期の可能性を否定し続けている。しかし、ここにきて通常開催を推し進める流れに変化が見られるようになった。

   当初、一枚岩と見られていた組織委員会のメンバーからついに通常開催を疑問視する声が上がった。3月11日に組織委員会の高橋治之理事が米紙「ウォールストリート・ジャーナル」のインタビューに応じ、私見としながらも五輪開催を断念する場合、「1年か2年の延期が現実的な選択」と語った。

   そして、今回の石破氏の発言である。大規模なスポーツイベントの中止、延期が加速するなかで、組織委員会の「身内」から「延期」の言葉が発せられ、自民党の要職を務めた石破氏も、もしもの場合に備える必要性を説いた。東京五輪の中止、延期に向けて徐々に外堀が埋められつつある。