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「12人の食事会」には苦言も出るが... 藤浪「早期申告・実名申し出」に評価

   プロ野球の阪神タイガースは2020年3月27日、藤浪晋太郎投手(25)、伊藤隼太外野手(30)、長坂拳弥捕手(25)に新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたことを発表した。3人は26日に大阪府内の病院でPCR検査を受け、陽性反応が確認された。日本野球機構(NPB)に所属する球団の選手が新型コロナウイルスに感染したのは初めてとなる。

   揚塩健治球団社長(59)はこの日午後、甲子園球場室内練習場で会見に臨み、新型コロナウイルスに感染した3選手のウイルス感染までの経過、症状の詳細を明かした。揚塩球団社長によって新たに判明したのは、ウイルスに感染した3人が14日に知人宅で会食していたこと。この3人を含め7人の選手と外部の5人、計12人が知人宅で会食したという。

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球団の認識の「甘さ」を指摘する声も

   ウイルス感染とこの会食の因果関係について揚塩球団社長は「まだ確定もしてません。限定もしてません。今後、保健所の方のご指導のもと、そういった感染経路の確定については、こちらから資料を提出して感染経路を確定していきたいと思っています」と慎重な姿勢を崩さなかった。

   今回、嗅覚の異変にいち早く気付き、自ら行動に出た藤浪の一連の動きに対しては、球界関係者から称賛の声が上がっている。揚塩球団社長によれば、実名報道も藤浪自ら望んだという。ウイルス感染の初期症状に、嗅覚、味覚の異変が起こりうるということを世間に広く知らせたいとの思いがあったという。

   一方で球団の認識の「甘さ」を指摘する声もある。他球団が選手の外出禁止を促すなか、阪神は選手の自主性を重んじ選手の外出を禁止せず、外出自粛を指導するにとどまった。球団が外出禁止を徹底しなかったことで、藤浪らのように知人宅で会食するようなケースが出ても不思議ではなかった。

「とくに阪神の選手は会食に誘われることが多い」

   また、阪神の中堅OBは、藤浪を含める7人の選手についてプロとしての自覚の足りなさを指摘する。「プロ野球選手は付き合いが多く、とくに阪神の選手は会食に誘われることが多い。なかには断りづらい場合もあります。だからといってこの非常事態に7人もの選手がそろって会食に出かけるのは理解に苦しみます。プロとしての自覚が足りないと言われても仕方ないでしょう」(阪神OB)

   選手に対して人込みを避け、不要不急の外出を自粛するよう指導していたという揚塩球団社長は「結果的にこのように感染者が出たということに対しては、今から思えばもう少し厳しく外出禁止というふうな形で臨んでいた方が良かったのかなという反省もございます」と神妙な面持ちで「反省」の言葉を口にした。

   球団はすでに選手、スタッフ、球団職員の1週間の自宅待機を決定しており、今後の状況によっては自宅待機の期間が延長される可能性もある。ウイルスに感染した3選手は兵庫県内と大阪府内の病院にそれぞれ入院。現時点で会食に参加した残りの4選手に異変は見られないようだが、状況は決して楽観視できず予断を許さない。