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安倍首相の「うちで踊ろう」動画は、小池都知事・ヒカキン対談と何が違ったのか

   安倍晋三首相が2020年4月12日にツイッターで公開した、俳優で歌手の星野源さん(39)との「コラボ」動画に対する非難の声が止まらない。

   元の動画は星野さんが3日、新型コロナウイルスの流行が止まらない中で外出自粛を呼びかけるべくインスタグラムのストーリーズで公開していた「うちで踊ろう」。同動画の公開は単なる配信に留まらず、外出自粛を呼びかける他の有名人に使用され、新たなコラボ動画が誕生するなど広がりを見せていた。

  • 安倍晋三首相(2020年撮影)
    安倍晋三首相(2020年撮影)
  • 安倍晋三首相(2020年撮影)

「余計なことしない方がいいよ」「センスはマイナス100点」

   そんな中、安倍首相も同様に星野さんの動画を拝借して外出自粛を呼びかける動画を作成し、ツイッターで公開。しかし、安倍首相の動画には「余計なことしない方がいいよ」「センスはマイナス100点」といった罵声が殺到してしまった。

   外出自粛を呼びかける動画だったにもかかわらず「大炎上」してしまった安倍首相。一体、何がいけなかったのだろうか。そこで、J-CASTニュース編集部はITジャーナリストの井上トシユキ氏に、その原因を聞いてみた。

   まず、今回の大炎上の原因について井上氏は、「危機感」が全く感じられない動画だったことが全てだと斬り捨てた。

「今回の動画は、あたかも、『受け狙い』で作ったかのような動画であり、国家のリーダーらしさのかけらもありませんでした。一方、先日のメルケル首相(ドイツ)の新型コロナウイルスに対する演説は世界中で感動を呼びましたが、それとは雲泥の差です。一言で言えば、『リラックスじゃねーだろ!』。安倍首相の周りにブレーンはたくさんいるでしょうが、その中で、止める人はいなかったんでしょうか? あるいは、この案を勧められて安倍首相はまずいと思わなかったんでしょうか? それほどの酷さです」

小池氏が「高い評価を生んだ」理由は...

   今回の件に限らず、井上氏は最近の安倍首相にはうかつな行動パターンが見え隠れするとも指摘する。

「4月7日の緊急事態宣言についての記者会見の時もそうですが、最近の安倍首相はきちんと確認しないまま行動に移してしまうのでしょうか。この時、安倍首相は『欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました』との発言を行いましたが、その後、航空会社の職員からは困惑の声が相次ぎました。十分な確認や根回しをしたとは思えず、頼りなさ満開です」

   なお、政治家によるネット上での動画による情報発信と言えば、10日にYouTuberのHIKAKIN(ヒカキン)さんのチャンネルに登場した東京都の小池百合子知事の例が挙げられるが、こちらに関しては、ネット上では「HIKAKINさんの動画観て理解した 小池都知事の話が分かりやすい」といった高い評価が相次いだ。一体、安倍首相との違いは何だったのだろうか。

「政治家と有名人という組み合わせこそ同じですが、小池知事の場合は、『自らがアピールしつくせない層』、つまり、今回の場合は『若い世代』にアピールすべく、ヒカキンさんの力を借りたという点が高い評価を生んだと考えられます。自らの力の限界をきちんと知り、それを埋め合わせることが出来るヒカキンさんに『頼み込んだ』という姿勢が見られるわけであり、この点が安倍首相に対してはるかに真摯な態度であると見る者に判断されたのです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)