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テラスハウス、あいのり、バチェラー... 「恋愛リアリティー番組」トラブルの系譜

   恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中のプロレスラーの木村花さんが死去したことについて、同番組を放送しているフジテレビは2020年5月25日、「とくダネ!」の放送中にコメントを発表。「木村花さんの突然の訃報に接し、言葉を失っております。ご親族の皆様へ謹んでお悔やみ申しあげるとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます」と、伊藤利尋アナウンサー(47)がコメント文を読み上げた。

   23日に22歳の若さで突然の最期を迎えた木村さんは、番組出演中の言動についてアンチから誹謗中傷を浴びるなどしており、それらの非難がその死の引き金になったのではないかとする声がネット上を席巻しているほか、同日未明にはインスタグラムで「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね」とのメッセージを添えた写真を投稿しており、これが最期のメッセージだったのではとする指摘が出るなど、余波は収まる気配を見せていない。

  • 言葉は、時に暴力になり得る(写真はイメージ)
    言葉は、時に暴力になり得る(写真はイメージ)
  • 言葉は、時に暴力になり得る(写真はイメージ)

「ドラマや映画と実世界の区別がつかないのかな?」

   木村さんに対しては、悲しみの声がネット上に続々と上がっている。あるツイッターアカウントは「こういう心ない言葉のせいで人の命が奪われるかもしれない。そう考えると怒りが抑えられないわ 木村花さん、ご冥福をお祈りいたします」と、哀悼の意を表しているほか、別のアカウントは「本当に華のある選手でした。今はゆっくり休んで下さい」と、故人を偲んでいる。

   このほか、上がっている声で多いのが、

「何があったかは知らないけど、テラハみたいな番組みて、ムカついて演者のバッシングしようと思う人の思考回路が理解できん。。バチェラーみてムカついてもハイボールいっぱいで消化できたけどな」

と、他のリアリティー番組の名前を挙げつつ、バッシングに加担した視聴者に疑問を呈する声だ。別のアカウントも、

「テラハとかあいのりみたいなやらせチックな番組は苦手で元々見てなかったが、あの手の番組の作りキャラに過剰反応する人の頭の中ってドラマや映画と実世界の区別がつかないのかな?」

と、疑問の声を上げている。

   「テラスハウス」について指摘する声に併せて含まれている「バチェラー」「あいのり」だが、これらは「恋愛リアリティー番組」と呼ばれ、視聴者の間で人気を博してきた番組だ。

「お芝居だと思って楽しめる人じゃないと見ちゃダメ」

   「あいのり」は1999年10月から2009年9月にかけてフジテレビ系で放送されたほか、2018年1月からは「African Journey」と題されたシリーズが放送されている(ネット配信では同じ内容を先行公開)。一方の「バチェラー・ジャパン」は2017年2月から「アマゾンプライム・ビデオ」で配信を開始し、2019年9月からはシーズン3が配信された。どちらも、「未婚の男女が出演」「出演者がプロの芸能人ではない」という「テラスハウス」との共通点が指摘されることが多い「同型番組」と言える存在だ。

   両番組は、それこそ、「炎上」とでも言うべき視聴者からの反応を浴びてきた番組でもある。18年12月には「あいのり」で、出演者の女性が番組中で暴力を振るったとして、視聴者から批判が殺到する事態となった。また19年10月には「バチェラー・ジャパン」のシーズン3最終話について、「衝撃の結末だった!」といった声が上がって「大炎上」するなど、物議を醸したことは記憶に新しい。

   このためか、木村さんが亡くなったことに対しては、「そもそもテラスハウスとかあいのりとかその辺好きな人はこれはお芝居だと思って楽しめる人じゃないと見ちゃダメ」と、視聴者の過度の感情移入を戒める声も上がっている。

   恋愛リアリティー番組でこれまでに発生してきた騒動の延長線上に今回の木村さんの死があるとしたら、視聴者の態度は時に「凶器」となり得るということを、木村さんが身をもって示してしまったということなのかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)