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創作者向けサービスBOOTHにも「情報商材」の魔手が 運営側は規約変更で対策

   ピクシブ(東京都渋谷区)は2020年6月5日、クリエイター向けショップ作成サービス「BOOTH」に、FX、株、仮想通貨など金融に関する情報商材、それに伴うツール及び関連商品の販売登録を禁止するとして、1日に変更を発表した規約の文言を訂正した。

  • 「BOOTH」公式サイトより
    「BOOTH」公式サイトより
  • 「BOOTH」公式サイトより

「今後のトラブルを未然に防止するため」7月1日から変更

   「BOOTH」は、同社の運営するイラストサイト「pixiv(ピクシブ)」と連携したウェブショップ作成サービス。一般的に、趣味で作成された自費出版の本「同人誌」が売買されている。イラスト集や漫画、小説などが多く並ぶが、評論本、グッズ、音楽、映像・写真作品、ソフトウェア・ハードウェア、素材データといった幅広い創作物の頒布が可能だ。ただし、「具体的な創作物を伴わないサービス提供、及びそのおそれのある商品」の登録は禁じていた。

   しかし、6月1日に規約の変更を発表した。ピクシブは、情報商材や金融取引に関する商品のトラブルが多発しているとする国民生活センターの統計を参考にし、

「BOOTHは創作物を通じてクリエイターやファンに楽しんでいただくためにサービスを提供しており、今後のトラブルを未然に防止するため、下記へ記載した金融取引又はそれに関連する情報商材やそれによりトラブルを招く恐れがある商品の登録を禁止することにいたしました」

と、情報商材の登録を禁じると発表した。変更後の規約は7月1日から適用する。

ユーザーからの指摘を受けて規約に追加、訂正を行う

   規約変更の告知の直後、ユーザーからは、イラスト技法書、文学評論本、技術書は可能かといった不安の声が上がった。

   このような声を受けて、「本お知らせに対していただいたお声も参考にさせていただきながら文面を見直し、また安心して商品を公開いただけるようガイドライン等で判断の助けとなる事例を補足させていただきます」として、補足で「イラスト技法書、プログラミング言語解説書、文学評論本」は対象でないと明言した。さらに、「情報商材」の定義を独立行政法国民生活センターから引用し「副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウ等と称してインターネット等で販売されている情報」と定めた。

   その後5日、さらに文言の訂正を発表。規約自体に変更はないが、「ノウハウや情報を主体とする商品」と、「金融取引に関するツール及び関連商品」を「FX、株、仮想通貨など金融に関する情報商材、それに伴うツール及び関連商品」に訂正した。

ピクシブに取材してみると...?

   ピクシブの広報担当者は5日、J-CASTニュースのメールでの取材に対し、

「情報商材や金融取引のノウハウ本などの販売において、実態を伴わない商品が登録販売されるケースが増えてきたため、購入者を守るため販売禁止商品に指定しました」

   と、規約変更を行った背景を述べた。J-CASTニュースは、実際にBOOTH内で情報商材などの取引におけるトラブルなどがあったのか尋ねたが、「弊社は、創作物を通じてクリエイターやファンに楽しんでいただくためにBOOTHというサービスを提供しており、そういったトラブルを未然に防止することを目的としております」と、明らかにしていない。

   さらに、今回の規約訂正に関して、情報商材に関する解釈は様々だとし、

「弊社で『情報商材』は本個別サービスを利用するにあたって、副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウ等と称してインターネット等で販売されている情報であると定義し、『FX、株、仮想通貨など金融に関する情報商材、それに伴うツール及び関連商品』と訂正致しました」

と自社で独自の定義を行ったと述べる。

noteなどでも規約変更の動き

   また昨今ではブログサービス「note」もこのような規約変更を行ったのを始め、プラットフォーム側による「締め出し」の動きが出ている。そのような他社サービスの影響があったのかなどを尋ねると、

「今回の規約変更に伴う登録禁止商品の数は詳しくはお伝えすることはできませんが、前述の通り増加傾向にございます。他社サービスの規約変更に伴う登録禁止商品の増減についても同様です」

と、回答した。

   6月2日時点に編集部が確認すると、BOOTH上にはFXや仮想通貨のノウハウ本、副業指南書、自己啓発本などが多数出品されていた。6月5日現在、改めて確認したがこれらの商品が取り下げられている様子はなかった。ピクシブは、30日までに商品の非公開作業を要請しており、7月1日以降に規約に反する商品を公開されていた場合は、検知次第商品を非公開にする。また、悪質と判断した場合、売上金の失効措置をとるとしている。