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NHKが米デモ解説動画で謝罪・削除 「白人と黒人の格差」描写に批判集まり、「配慮が欠けた」

   NHKは、テレビ番組で放送しツイッターで公開した「白人と黒人の格差」の解説動画について、2020年6月9日に謝罪を行うとともに公開を取りやめた。

  • 問題となったNHKの動画と大坂なおみさんの反応(画像は大坂さんのツイッターから)
    問題となったNHKの動画と大坂なおみさんの反応(画像は大坂さんのツイッターから)
  • 問題となったNHKの動画と大坂なおみさんの反応(画像は大坂さんのツイッターから)

「不快な思いをされた方にお詫び」

   番組「これでわかった!世界のいま」の7日夕方の放送(NHK総合)で流されたもので、放送中、同じ時間帯に番組の公式ツイッターアカウントでハッシュタグ「#抗議デモ」などを付けて動画が公開されていた。

   「俺たちが怒るその背景には、俺たち黒人と白人の貧富の格差があるんだ」という男性キャラクターの言葉に始まり、資産格差や、新型コロナウイルスの影響により「失業か労働時間を削られた黒人」がどれだけ存在するかなどについて語るというアニメーション動画だった。これに対し、国内外のツイッターユーザーから「差別的ステレオタイプによる人種差別表現です」といった批判が寄せられていた。

   女子プロテニスプレーヤーの大坂なおみさんも9日早朝にツイートに反応。疑問の表情を浮かべる男性のGIF動画を投稿し、J-CASTニュースでも取り上げていた(「大坂なおみ、NHKの米デモ解説動画に『疑問符』 白人と黒人の貧富、アニメで説明も...」)。

   番組アカウントは9日午後、「多くのご批判・ご意見をいただいており、動画の掲載を取りやめました。掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします」とツイートし、

「番組では、デモの発端が、黒人男性が警察官に押さえつけられて死亡した事件であることを紹介したうえで、今回の事件に様々な人たちが怒りを募らせている背景やトランプ政権の対応とそれに対する批判、アメリカ社会の分断の現状などを26分間にわたってお伝えしました。CGアニメーションは、番組の中で、アメリカの黒人の人たちが置かれている厳しい状況をわかりやすくお伝えしようと、格差のデータや指標とともに約1分20秒間にまとめたものです」
「しかし、視聴者からこのアニメーションについて、問題の実態を正確に表していないなどというご批判をいただき、掲載を取りやめました。掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします。NHKでは、人権を尊重し、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払うよう取り組んでまいります」

という謝罪文を掲載。9日14時30分現在、動画を添付した7日のツイートは削除されている。番組公式サイトにも、同様の謝罪文が掲載されている。