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東京湾のレストラン船「ヴァンテアン」が6月末で事業撤退 コロナ休業影響、「さよなら運航」もなし

   東京湾のレストランクルーズ船「ヴァンテアン」を運航する東海汽船の子会社・東京ヴァンテアンクルーズ(東京都)が、新型コロナウイルスによる経営悪化を受け2020年6月30日をもって事業から撤退する。

   披露宴会場や「全国高等学校クイズ選手権」(日本テレビ系列、以下:高校生クイズ)の舞台で知られ、ツイッター上では「もう乗れなくなるのが残念」など悲しみの声が聞かれている。

  • 「ヴァンテアン」コロナ余波で事業撤退(画像はヴァンテアン公式サイトより)
    「ヴァンテアン」コロナ余波で事業撤退(画像はヴァンテアン公式サイトより)
  • 「ヴァンテアン」コロナ余波で事業撤退(画像はヴァンテアン公式サイトより)

4月8日から臨時休業

   フランス語で数字の「21」を意味するヴァンテアンは、21世紀を目前にした1989年に運航を開始。レインボーブリッジやお台場など東京の臨海部を周遊しながらフレンチ料理を食事できるのが特徴で、宴会や結婚式の会場としても人気があった。「高校生クイズ」決勝の舞台としても知られ、過去に6度、インテリ高校生による船上での早押しクイズが広げられた。

   20年2月には横浜市に停泊していた英国船籍のクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」で集団感染が起こったが、ヴァンテアンでは「外気を取り入れて船内の空気入替」「接客スタッフのマスク着用」など感染対策をした上で運航を継続。しかし、都の緊急事態宣言発令を受けて4月8日から臨時休業に入っていた。

   東京ヴァンテアンクルーズの広報担当者に取材すると、都の緊急事態宣言は5月25日に解除されたものの、「コロナが完全に収束していなかった」「集客が回復する見込みがなかった」ことを理由に、その後も休業を続けていた。

「さよなら運航」の予定は...?

   そうした中、東京ヴァンテアンクルーズは6月1日に公式サイト上で「事業撤退に関するお知らせ」を掲載。事業が長年の償却費負担や近年の競争の激化、船舶の老朽化による維持整備で厳しい経営状況にあったことを明かした。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で損失が膨らみ、「今後の船舶維持費用を考慮すると事業の継続は困難」と判断したことから、6月末での事業撤退を決めたとしている。

   事業撤退を受け、東京ヴァンテアンクルーズの公式ツイッターは9日に、

「お客様の笑顔やお声がけに日々励まされた31年間でした。特別な日にヴァンテアンを選んでいただいたこと、心より感謝申し上げます。長年のご愛顧誠にありがとうございました」

   とツイートしている。

   ツイッター上では「もう乗れなくなるのが残念」「また乗りたかった...」と運航終了を惜しむ声や、「ヴァンテアンで披露宴行いました。ドレスを直すのにお借りしたお部屋も素敵でした。素敵な思い出、ありがとうございました」という感謝の声も聞かれた。

   東京ヴァンテアンクルーズの担当者によれば、今後6月末まで運航の再開はせず、「さよなら運航」も行わないという。また、クルーズ船も取り壊しになる予定だとした。