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子供向け「野球教室」にもコロナ禍の影響 ようやく活動再開も新入部員は...

「子供たちに笑顔が戻って本当にうれしいですね」

   こう語るのは、都内で子供向けの野球教室「OAKS BASEBALL CLUB」を主宰するアスリート・マーケティング株式会社(東京・港区)の篠田哲次氏だ。

   新型コロナウイルスの感染拡大は、国内の様々なスポーツに影響を及ぼし、プロ野球、サッカーJリーグをはじめとするプロスポーツやアマチュアスポーツの大会が延期、中止に追いやられた。野球教室も例外ではなく、政府の休校要請、緊急事態宣言にともない活動休止を余儀なくされた。

  • 野球教室もようやく「開幕」
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グランド使用禁止、子供たちの安全確保が難しく...

   「OAKS BASEBALL CLUB」は、小学生以下を対象とした「幼稚園クラス」と「小学校低学年クラス」、「小学校高学年クラス」の3つのクラスがあり、月に3回のペースで主に金曜日の午後に教室が開かれる。コーチスタッフはプロ野球OBで構成され、ヤクルト、阪神などで活躍した野口寿浩氏、元横浜ベイスターズの古木克明氏らが指導にあたる。

   同教室に通う子供たちの目的は様々で、地元の野球チームに所属しプロ選手を目指す子もいれば純粋に野球を楽しみたい子もいる。運動不足の解消、体力向上を目的とする子もおり、それぞれが月に3回、教室を楽しみにグランドに足を運んでいた。

   同教室は、都内で新型コロナウイルスの感染が広がりを見せた2020年4月以降、活動を休止していた。教室を開いていた都内グランドの使用が禁止され、子供たちの安全を確保するのが困難になったため約2カ月間にわたって活動を休止。そして5月25日に緊急事態宣言が全国で解除されたことを受けて、6月5日にようやく活動再開にこぎつけた。

子供たちの体力低下が心配

「まだこれまでの生活を取り戻すのに時間がかかると思いますが、子供たちと久々に顔を合わせて少し安心しました。久しぶりでしたので、私が声を掛けたら恥ずかしそうにしている子供もいました。教室が再開できたのは喜ばしいことですが、子供たちは2カ月間、満足な運動をしていませんので体力の低下が心配です。これから暑くなりますので熱中症対策として、こまめに水分を補給させたり少し多めに休憩を入れたりしています」(篠田氏)

   教室の活動再開にあたり、独自のルールを導入しウイルス感染防止に努めているという。コーチのマスク着用、子供たちの検温を義務付け、ベンチの消毒を徹底して行っている。密を避けるために保護者と子供たちを1塁、3塁側の2つのベンチに分けるなど細心の注意を払っている。

   一方で活動を休止していた間、教室の収入はゼロで経営的に打撃を受け、新規会員の入会の機会も失ったという。

「教室の活動を休止していたため新入部員はおりません」

「教室は月謝制になっていますので、4月と5月に関しては月謝をいただいておりません。コーチの方々にも謝礼を支払うことが出来ませんでした。この2カ月間、教室の収入がなかったわけですが、それ以上に4月に活動が出来なかったのは大きな痛手でした。例年、4月は新学期となるので多くの新入部員が見込めます。この春、高学年クラスの部員4人が小学校を卒業しましたが、教室の活動を休止していたため新入部員はおりません」(篠田氏)

   近年、野球の競技人口が減少の一途をたどり、なかでも若い世代の野球離れが深刻化している。日本中学体育連盟が公式サイトで発表しているデータによると、2018年の中学野球部員は全国で16万6800人となっており、08年の30万5958人から約45%減となっている。

「私たちが願っているのは、子供たちが中学に上がっても野球を続けてくれることです。子供たちに野球を好きになってもらうのが一番の目的ですから。そのために元プロの選手に協力していただいております。今後、ウイルス感染の第2波がいつ来るか分かりませんので不安はありますが、私どもは子供たちのために出来る限りのことをやるだけです。我々の活動が少しでも球界に貢献出来ればと思っています」(篠田氏)