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最近の北朝鮮は「かなり奇妙」 河野防衛相が疑う「3つの根拠」

   河野太郎防衛相は2020年6月25日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見し、最近の北朝鮮の情勢について、言葉を選びながら「かなり奇妙」だと表現した。

   北朝鮮は開城(ケソン)工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破するなど、韓国側に強硬姿勢を続けている。このことについて、北朝鮮の国民が国内問題に向ける目を国外にそらす狙いがあるとの見方を示した。さらに、すでに北朝鮮国内でも新型コロナウイルスの感染が発生しているとの在韓米軍の司令官の発言について、「個人的に同意する」と述べた。

  • 記者会見する河野太郎防衛相。最近の北朝鮮の情勢について、言葉を選びながら「かなり奇妙」だと述べた
    記者会見する河野太郎防衛相。最近の北朝鮮の情勢について、言葉を選びながら「かなり奇妙」だと述べた
  • 記者会見する河野太郎防衛相。最近の北朝鮮の情勢について、言葉を選びながら「かなり奇妙」だと述べた

「最近の動きは、かなり(quite)」...、数秒後に言葉を選んで「奇妙(strange)」

   河野氏はこの日の朝、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の断念を表明したばかり。記者会見では、引き続き北朝鮮からの脅威に対応する必要性を強調した。

「イージス・アショアの計画は中止せざるを得なかったが、それでも北朝鮮の脅威は存在する。多数の弾道ミサイルを保有しており、その中には日本上空を飛行したものもある。そういったものから国民を守らなければならない。弾道ミサイルや、その他の北朝鮮が獲得しつつある技術から、いかにして日本や国民を守るか議論を進める」

   さらに、北朝鮮の現状に関する質問には、「最近の動きは、かなり(quite)」と発言したところで沈黙。数秒後に言葉を選ぶようにして「奇妙(strange)」と表現。3つの根拠を挙げながら、最近の北朝鮮の行動は、国内問題から国民の目をそらす狙いがあるとみている。

「第1に、新型コロナウイルスの感染が北朝鮮で広がり、金正恩氏が感染を避けようとしていることを疑っている。金正恩氏は表に姿を見せない時期があった。第2に、金正恩氏の健康をめぐる若干の疑念がある。第3に、昨年は北朝鮮では凶作だった。経済も不調だ。そのため、金正恩氏やその政権は、国民が国外に目を向けるように、何らかのスケープゴートを必要としている。彼ら(北朝鮮)が韓国政府にきわめて厳しい態度を取っているのは、そのせいかもしれない」

「『感染ゼロ』は『不可能な主張』」に「個人的に同意」

   北朝鮮は、国内に新型コロナウイルスの感染者はいないとの主張を続けている。だが、在韓米軍のエイブラムス司令官は20年4月にCNNなどが行ったインタビューで、

「我々が得たすべての情報に基づけば、それは不可能な主張だと言える」

と話している。

   河野氏は、この発言を念頭に

「北朝鮮内の新型コロナウイルスに関する報道を読んできたが、在韓米軍の司令官が、新型コロナウイルスはすでに北朝鮮内部でも感染していると考える、と言及していたと思う。個人的に、この見方に同意する」

と話し、北朝鮮国内で感染が広がっているとの見方を示した。その上で、最近の動きと新型コロナや金正恩氏の健康問題との関連を見極めたい考えだ。

「どの程度北朝鮮内部で感染が広がっているか、最近のミサイル発射や軍事訓練が、新型コロナウイルス、金正恩氏の健康、凶作、経済の悪化から、国民の目をそらすためのものなのかどうか、見極めなければならない。明確な答えは持ち合わせていないが、個人的には、こういった可能性があると考えている」

   なお、金正恩氏の健康問題については

「健康説、死亡説など、多数の報道がある。そのうちの、どこかだろう」

として評価を避けた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)