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洋服の青山「透けハラ対策」キャンペーン一時中止 「あおっているような表現になってしまった」

   紳士服販売の「洋服の青山」(以下青山)は、シャツなどが透ける「透けハラ」を使ったキャンペーンを2020年6月24日にツイッターで行ったが、批判を受けて「一時停止」とした。

   一体何があったのか。展開を行う青山商事がJ-CASTニュースの取材に応じた。

  • 画像は「洋服の青山」公式サイトから
    画像は「洋服の青山」公式サイトから
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「みんなの #透けハラあるある を教えて」

   6月に入り、最高気温が30度を超える日も出てきた。こうした中の24日、青山は「透けハラ対策 Twitterキャンペーン」を実施し公式アカウントで

「緊急調査!みんなの#透けハラあるあるを教えて #洋服の青山の透けハラ対策シャツ&肌着でSTOP!#透けハラ」

などとツイートした(削除済み)。

   ハッシュタグを付けて「透けハラあるある」の投稿などを行った人に対し、通販で使える商品券を抽選でプレゼントするというものだった。しかし、ツイートには

「透けたくて透けてる人なんているんですかね。 どうかと思いますよ」
「着たくもないもの着てハラスメントだのなんだの言われる筋合いはありません。『ハラスメント』という言葉を軽んじる社風もまさに透けて見えますね」

といった批判が寄せられた。また、ハッシュタグ「#透けハラあるある」を付けたツイートでは

「ハラスメントっていうのは、マーケティングの為に冗談で使っていい言葉じゃないと思うんだけど」
「当事者同士の対話を無視して マーケティングのために 造語を生み出して 消費を煽り 存在しないハラスメントがあるように扇動して...」

といった声も上がった。

   青山は24日の22時30分ごろにキャンペーンのツイートを削除し、23時ごろには

「大変申し訳ございません。透けハラ対策キャンペーンを一時停止させて頂きます。『透けハラ』というメディア報道を受けて発信しましたが、弊社発信と誤解されてしまう表現になっていた為です。社内で再検討致します。CP参加は取り下げ時点までとさせて頂きます。大変申し訳ございません」

と謝罪した。

   このキャンペーンの趣旨や「一時停止」の理由について、青山商事の「リブランディング推進室」がJ-CASTニュースの取材に応えた。

青山が生み出した言葉ではないが...

   青山の意図は、「透けハラ」という問題を解決する商品として「透けないシャツ」の販促を行うことだったという。キャンペーンが一時停止となったのは、「透けハラ」という言葉を青山が作り出し広めているとする、意図せぬ批判が広まったことによるとした。

   今回批判を受けた「透けハラ」という言葉。日本経済新聞電子版の1月11日の記事は、シャツなどが透けることで周囲に不快感を与えるハラスメントとして説明している。青山側が説明するとおり、独自に生み出したキーワードではない。

   ただ「透けハラ」もしくは「スケハラ」を用いたツイートを検索してみると、2月から4月までほとんど見られず、5月には数件、6月中でも23日まで10件前後だった。

   「透けハラ対策 Twitterキャンペーン」の目的は、「透けハラ」の体験談を商品のリリースに載せることだったが、検討の結果、今後はツイッターによる「透けハラ」キャンペーンの再開は行わないとのことだ。また、今回販売を推進している商品については、「違う形の表現」に変え、店頭やECでの販促を続けていくという。

   キャンペーンへの批判についてはどう受け止めているのか。

「本当は『透けハラだ』というふうに言うつもりは全くありませんでした。ツイッターには文字数の都合があり、ちゃんと表現として伝えられていなかったというところを反省しております。キャンペーンとして実施するべきではなかったのではないか、と社内では言っております。『透けハラ』をあおってしまっているような表現になってしまった」
「スケハラという言葉を広めたいわけではなく、透けないシャツ、透けづらいシャツが青山にあるということを伝えたかっただけでして......」

   また、販促の中で「ハラスメント」を用いたこと自体については

「ハラスメントという言葉が適切でなかったと考えているというよりは、『透けハラ』という、ハラスメントを表している言葉自体が社会的にそこまで認知されていない状態でそれを使ったところが問題だったのかなと思います」

とした。