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宇都宮氏、淡々と受け止めた敗戦 「2位」確実で「最低限の責任は果たせた」「次につながる」

   2020年7月5日に投開票された東京都知事選で、投票が締め切られた20時過ぎに現職の小池百合子氏(67)の当選確実が伝えられると、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)が東京・四谷の選挙事務所に姿を見せ、淡々と敗戦の弁を述べた。

   新型コロナウイルスの影響で、多くの人が集まる街頭演説を減らすなど、政策を訴える手段が限られた選挙戦だった。宇都宮氏は、訴えが浸透しなかった原因のひとつとして、地上波での候補者討論会が行われなかったことを挙げ、「ちょっと異常な事態だった」と指摘した。

  • 落選が確実となり頭を下げる宇都宮健児氏。悲壮な表情を見せることなく、淡々と敗戦の弁を述べた
    落選が確実となり頭を下げる宇都宮健児氏。悲壮な表情を見せることなく、淡々と敗戦の弁を述べた
  • 落選が確実となり頭を下げる宇都宮健児氏。悲壮な表情を見せることなく、淡々と敗戦の弁を述べた

テレビ討論ゼロに「もっと行われたら...」

   宇都宮氏の選挙事務所では、「密」を避けるために陣営スタッフも最小限で開票開始時刻を迎え、陣営スタッフが報道陣に対して、できるだけ人数を減らすように求める部面もあった。

   敗因について問われた宇都宮氏は、

「一番大きな問題は、私たちの主体的な力がまだまだ及ばなかった、まだまだ運動が足りなかったというのが一番だと思う」

   などと述べた上で、テレビ討論の問題に言及した。今回の選挙戦では、告示前後に3回にわたって候補者討論会が行われたが、いずれもオンライン討論会で、地上波で生中継されたり、テレビ局が主催したりすることはなかった。

   宇都宮氏は、こういった状況について

「今回の選挙では様々な争点があったが、その争点が有権者に届けるためには、もっとテレビ討論等があったら良かった。現職は4年やってきて、毎日テレビ・メディアに出てきて発信しているが、そういう問題について明らかにするというのは、街頭宣伝やネット配信では十分に届かないところがあった。積極的なテレビ討論がもっと行われたらよかった」

   などと指摘。

「オファーすらなかったというのは、ちょっと異常な事態」

   宇都宮氏は、12年と14年に出馬した際は、「4~5回は行われたのではないか」とする一方で、今回の選挙戦については

「大変異常なことに、1回もテレビ局からテレビ討論のオファーがなかった」

   とした。

   その上で、

「(過去の選挙戦では)オファーがあって『主要候補が出られないから』と、つぶれたことはあったが、今回みたいに、まったくオファーすらなかったというのは、ちょっと異常な事態だったのではなかったか。その分、争点についての論戦がなかった分が、よく言われるように選挙の盛り上がりに欠けた面でもあったし、私たちの運動が、もうひとつ、都民の皆さん全体に届くことができなった要因のひとつになっている」

   などと繰り返した。

「2位」確実で「最低限の責任は果たせた」「市民運動や労働運動の次につながる選挙」

   今回の選挙戦では、宇都宮氏が5月25日にツイッターで出馬を表明したのに対して、れいわ新選組の山本太郎代表(45)が告示3日前の6月15日に出馬を表明。両者は福祉を重視するなど、政策面で近いと考えられており、いわゆる「リベラル票」を奪い合う可能性も指摘されてきた。こういった懸念について、「山本さんの判断で出馬したこと」で、「それは尊重すべき」だとした上で、

「堂々と論戦して都民の支持を得るために、有権者の支持を得るために選挙活動をするというのは、当たり前のことであって、それについてどうこう、ということはない」

   などと話した。

   報道各社の出口調査が出そろい、宇都宮氏の得票が小池氏に次いで多く、山本氏の得票に差を付けていることが確実になると、宇都宮氏は改めて会見。「個人の感想としては良かったなと思っている」と話し、

「最低限の責任は果たせた」
「市民運動や労働運動の次につながる選挙になった」

   などと前向きな言葉を繰り返した。宇都宮氏は悲壮な表情を見せることなく、終始淡々と記者の質問に答えた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)