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巨人元コーチが分析するセ・リーグ展望 首位追撃の一番手は「DeNA」

   プロ野球の巨人が首位を快走している。2020年7月29日の時点で貯金を「10」とし、2位ヤクルトに3.5ゲーム差をつけている。リーグ連覇、日本一の座を目指す巨人はこのまま突っ走るのか。巨人を止めるのはどの球団か。J-CASTニュース編集部は、巨人の元戦略コーチで楽天ではヘッドコーチを務めた橋上秀樹氏(54)に分析してもらった。

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「数字から見れば、借金を背負うチームではない」

   橋上氏が巨人の対抗馬として挙げるのはアレックス・ラミレス監督(45)率いるDeNAだ。DeNAは7月29日時点で借金「1」で、首位・巨人とのゲーム差は5.5ゲームとなっている。開幕当初は上位をキープしていたものの7月15日から6連敗を喫し、借金生活に突入した。

「開幕前からDeNAを高く評価していました。今は4位にいますが、状態がもう少し整ってくれば追撃の一番手であることは間違いないと思います。チーム防御率にしてもチーム打率にしても決して悪くない。現状、投打がかみ合っていない状態。数字から見れば、借金を背負うチームではないと思います」(橋上氏)

   DeNAは今シーズン、守護神・山崎康晃投手が不調で、ラミレス監督は7月29日の巨人戦の7回に山崎をセットアッパーとして起用。山崎は重信慎之介外野手(27)に内野安打を許したものの、この回を無失点に抑えた。橋上氏は「山崎投手の不安定さはマイナス要因ではあるが、今回の早めの配置転換は良い決断だったと思います。山崎投手自身、復調のきっかけをつかめるかもしれない」と話した。

「梶谷選手がポイントになると思います」

   今シーズンのDeNAは開幕から佐野恵太外野手(25)が4番に入り、1番は梶谷隆幸外野手(31)で固定。主砲・筒香嘉智外野手(28)が抜けたものの、佐野が筒香の穴をカバー。新外国人タイラー・オースティン外野手(28)の加入もあり、強力打線は健在だ。

「打線でいえば、梶谷選手がポイントになると思います。彼の実力からすればもっと上積みが期待できる。それと3人の外国人野手ですね。監督は3人を同時に使いたいところでしょうが、外国人枠の問題がありますから。パットン、エスコバーは貴重な中継ぎでなかなか外すことはできない。外国人選手のやりくりをうまくできればチームの状態も上がってくると思います」(橋上氏)

   首位・巨人を3.5ゲーム差で追うヤクルトは、33試合を消化して貯金「3」。チーム得点はリーグ2位となる156点を記録するものの、チーム防御率は4.97とリーグワーストだ。ヤクルトのOBでもある橋上氏はヤクルトの現状を次のように分析した。

「阪神は梅野捕手を固定してから安定」

「現状2位のヤクルトは出来過ぎというくらい目いっぱいいっている。この勢いがどこまで続くか。どうしても選手層が薄いチームですので今年の日程を考えると息切れしそうな感じはします。先発陣の完投能力を考えると、どうしても中継ぎを多用せざるを得ない。梅野投手、清水投手、マクガフ投手の代わりはいませんので、そこらへんが不安要素となる」(橋上氏)

   開幕直後は新外国人助っ人の不調などでブレーキがかかった阪神は貯金「1」で3位に浮上。7月に入ってからは14勝7敗1分と勝ち越し、チーム状態は上向いている。

「阪神は梅野捕手を固定してから安定してきました。ボーア、サンズの両外国人選手が日本の野球に慣れてきて機能し始めました。戦力的にみてもこれから上がってきそうな感じはします。巨人との対戦がまだ4試合だけなので、チーム状態が上がってから巨人との直接対決が多く残っているのは大きなプラスとなるでしょう」(橋上氏)

   橋上氏が注目するもう一つのチームが広島だ。現在、借金「5」を抱え5位に沈んでいるが、橋上氏は上位浮上の可能性に言及した。

原巨人「組織としての強さ感じる」

「広島がこんなに落ちてくるとは思いませんでした。攻撃力は今年も健在。投手を含めてケガ人が出てしまっているのが想定外だったと思います。ここ何年も上位で戦ってきたので勤続疲労があるのかもしれないが、もともと自力のあるチームですので、まだまだ立て直しが出来る試合数が残っている」(橋上氏)

   また、橋上氏は今シーズンの巨人の強さにも言及。原辰徳監督(62)の采配、トレードでの選手補強、1軍とファームなどの連携などを分析した。

「原監督は采配にメリハリがあり、経験も含めてゲーム展開を読む力に長けている。早め早めに動き、起用された選手もいい仕事をしている。ファームから来た選手もすぐに結果を残している。1、2軍の意志疎通、コミュニケーションがしっかりとれていると感じます。選手補強に関しても先を見越して手を打っている。それが機能している。組織としての強さ感じる」(橋上氏)