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合流新党では「時限的消費減税」が「選択肢」に? 慎重だった重鎮の口からも...

   野党統一会派の岡田克也衆院議員は2020年8月20日、立憲民主党との合流新党に参加しないことを表明している国民民主党の玉木雄一郎代表を含めて、可能な限り国民の所属議員全員で合流するように改めて求めた。国会内で記者団に語った。

   玉木氏が合流新党に参加しない理由のひとつが、消費税減税をはじめとする政策面の違いだ。岡田氏は、時限的な消費減税は「ひとつの選択肢」だとして、玉木氏の主張について「何か新しい党をつくる時の条件のような話ではないだろうと率直に思う」と疑問視した。

  • 国民民主党は両院議員総会で、解党と立憲民主党に合流する新党の結成を賛成多数で決めた
    国民民主党は両院議員総会で、解党と立憲民主党に合流する新党の結成を賛成多数で決めた
  • 国民民主党は両院議員総会で、解党と立憲民主党に合流する新党の結成を賛成多数で決めた

「未来永劫5%にしようと言っているわけではなく」...

   国民は8月19日の両院議員総会で、解党して立憲と合流するための新党結成を決めた。玉木氏はその直後の記者会見で、

「これだけGDPが落ち込んで、日本経済は相当危機的な状況になりつつあると思うので、追加の現金給付と消費減税はマクロ経済政策として不可欠な状況になっているので、ぜひこういうことで合意をして新党スタートということであれば非常に分かりやすかったし、もっと多くの人が結集できるきっかけになった」

などと話し、消費減税をはじめとする経済政策をめぐる立場の違いが、合流新党不参加の一因になったとの見方を示していた。

   岡田氏は、「大きなかたまり」の必要性を17年の民進党分裂の直後から唱えてきた。国民の両院議員総会で承認された執行部からの「提案事項」で「最後まで国民民主党全員での新党への参加の努力を続け」ることをうたっていることを念頭に、岡田氏は

「是非、党を率いるリーダーとして玉木さんを含めて合流してもらいたいという思いを、重ねて申し上げておきたい」

と強調。その上で、立憲と溝がある消費減税の問題について

「消費税といっても、玉木さんは消費税を未来永劫5%にしようと言っているわけではなく、今回のコロナ対策として1年間に限って引き下げるという提案をしていると承知している(編注:国民は5月27日に発表した経済対策で、『消費税率を10%から5%に引き下げる減税を、1年間の時限措置として行う』ことを掲げている)。それはひとつの選択肢。これだけの経済の予想もできなかった落ち込みがある中で、追加的な経済対策、需要をつくりだす政策というものは必要。ひとつの選択肢として消費税の1年間限定の引き下げというのはあり得る話」

などと指摘した。

2019年には「そんな簡単に上げ下げできるような代物ではないと思いますよ」

   玉木氏は以前から「リーマン・ショック級」の事態が起きた際には消費減税を視野に入れることを主張しており、19年6月5日の記者会見では

「(景気が)悪いときは(税率を)下げて、いいときは上げればいい」

などと述べていた。岡田氏はこの発言について、19年6月13日、記者団に対して

「消費税を上げることが、どれだけの政治的なコストを求められるかというのは、玉木さん、どう考えてるんですかね。そんな簡単に上げ下げできるような代物ではないと思いますよ」
「経済対策としていろんなことは考えなければならないかもしれないが、本当にリーマン・ショック級のものが来れば、消費税を下げてそれを経済対策にするというのは、僕にはちょっと、本気で言っているとは思えないですけどね」

などと厳しく批判していた。コロナ禍による経済への影響を受け、時限的な消費減税もやむを得ないと判断したとみられる。

「ひとりひとり固めていかないと...そんなに楽観しない方がいい」

   その上で岡田氏は、時限的な消費減税をめぐる議論が合流新党への参加のハードルになっているという玉木氏の認識について「私にはちょっと理解できない」と述べた。

「他にも所得税を減税するとか、あるいは給付するとか、その他にも色々な選択肢があり得ると思うが、それは新しい党になってしっかり議論していけばいい話で、何か新しい党をつくる時の条件のような話ではないだろうと率直に思う。消費税をなくすとか、未来永劫5%にしろというなら、これはひとつの大きな税制についての意見だから、それは新党をつくる時の大議論のテーマかも知れないが、1年間の経済対策、景気対策としての引き下げの話というのは、それがあるから党に合流するとかしないとか話だというのは、私にはちょっと理解できない」

   合流新党の規模をめぐっては、立憲の福山哲郎幹事長は20年8月19日の記者会見で、野党統一会派に所属する無所属議員を含めると、「150名前後」になるとみている。岡田氏はこの点については、慎重な見方をしている。

「ひとりひとり固めていかないと...そんなに楽観しない方がいい」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)