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安倍首相、一瞬言葉に詰まる場面も... 会見でもうかがえた体調の厳しさ

   健康不安が指摘され続けてきた安倍晋三首相は2020年8月28日17時から開いた記者会見で、持病の潰瘍性大腸炎が再発し「国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではない」などとして退陣を表明した。

   約1時間にわたって本格的に記者会見を開くのは、通常閉会が閉幕した6月18日以来、約2か月半ぶり。6月と比べて声も張りがなく、記者の質問に言葉を詰まらせる一幕も。終始、厳しい体調をにじませた会見となった。

  • 記者会見で退陣を表明する安倍晋三首相
    記者会見で退陣を表明する安倍晋三首相
  • 記者会見で退陣を表明する安倍晋三首相

6月よりも質疑応答の時間が増える

   6月も今回も、記者会見は約1時間にわたって行われた。ただ、6月はプロンプターを読み上げる冒頭発言が約20分間にわたったのに対して、今回は12分半。残りの時間は質疑応答にあてられた。冒頭の幹事社による質問など、内容がある事前通告されるものもあるが、そうでないものもあり、質疑の時間が増えるほど首相の負担は大きくなるとみられる。

   こういった背景もあってか、6月と比べて安倍氏が疲れをにじませる場面も何回かあった。

   会見中盤の質問では、一瞬言葉を詰まらせた。質問は、拉致問題について「振り返ってみて、何か反省すべき点はなかったのか」という内容と、プロンプターに関するもの。安倍氏は先にプロンプターについて答え、拉致問題に関する質問を、考え込むようにして反復した。

「そして拉致問題について......別のやり方があったのではないか...というご質問ですね」

   安倍氏は米国のトランプ大統領に米朝首脳会談の場で拉致問題に言及してもらうなど「私も全力を尽くしてきた」とする一方で、結果が出ないまま拉致被害者の家族が次々に亡くなっていることに「私にとっても痛恨の極み」と繰り返した。

「万が一にも、(第1次政権と)同じようなことをしてはならないという判断」

 

   第1次政権に続いて、第2次政権でも病気が原因で任期途中の辞任となった。1次政権との違いを問う質問には、肩で息をしているような様子で一拍置いて「任期途中の辞任で、様々なご批判があるのは当然だろうと、甘んじて受けなければならないと思っている」。第1次政権では、所信表明演説直後に辞任表明しており、後の会見で安倍氏自らが「最悪のタイミング」だったと振り返っている。このことを念頭に、

「もちろん、もう少しできないかと、気持ちに葛藤がなかったわけではないが、万が一にも、(第1次政権と)同じようなことをしてはならないという判断をした」

などと話した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)