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「維新」看板政策消滅、リーダー引退... 都構想否決で国政影響?識者に聞いた

   二重行政の解消を目指した大阪都構想が住民投票で否決され、看板政策を失った大阪維新の会が今後どうなるかに注目が集まっている。

   代表の松井一郎大阪市長が引退を表明したことで、求心力低下の懸念も指摘されている。松井氏は、代表を辞任する意向とも報じられており、維新は、存亡の危機に立っているのだろうか。

  • 松井一郎氏(右)と吉村洋文氏(2019年2月撮影)
    松井一郎氏(右)と吉村洋文氏(2019年2月撮影)
  • 松井一郎氏(右)と吉村洋文氏(2019年2月撮影)

維新人気と都構想とは別物との見方も強いが...

「目標そのものを失ってしまったと言っても過言ではない」
「もう松井市長も吉村知事も昨日までのやる気と熱意はないだろう」
「松井・橋下を失ったおおさかの維新は退潮を免れない」

   住民投票の結果が2020年11月1日の深夜に判明し、維新の敗北がネットニュースで伝えられると、そのコメント欄やツイッター上でこんな声も書き込まれた。

   投票率は62.35%で、5年前の前回より4ポイント下回り、賛成票は伸びなかった。今回も、約1万7000票の僅差で維新は破れ、会見した松井市長は、前もって明言していた通り、「けじめをつけなければならない」と23年3月の任期満了をもって政界を引退することを明らかにした。

   発言通りなら、前回の橋下徹元大阪市長と同様な結末を迎えることになる。また、2人3脚で訴えてきた代表代行の吉村洋文大阪府知事は、「僕が都構想に挑戦することはない」として、3度目は否定した。

   松井市長は、国政政党の日本維新の会代表も務めており、1年以内にある総選挙などへの影響もあるとみられている。

   もっとも、松井、吉村両氏とも、19年4月の大阪ダブル選挙では圧勝しており、「知事や市長の行政そのものが否定されたのではない」「財政破綻寸前だった大阪がここまで成長したのは紛れもなく維新の功績」などとして、維新人気と都構想とは別物との見方も強い。

「地域では生き残るが、菅政権も含め国政への影響がある」

   政治アナリストの伊藤惇夫さんも11月2日、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「大阪の人から見れば、維新は地元密着型の政党で、大阪の応援団として、反東京のシンボルにもなっています。大阪維新に関しては、直ちに瓦解したり、消えて行ったりすることはないと思います。日本維新の会も、大阪や兵庫でそこそこの議席があり、大幅に伸びることはなくても、地域では生き残るでしょう」

   ただ、今後の府政、市政運営などは難しくなっていくのではないかと伊藤さんはみる。

「財政が健全化したのも、インバウンド需要があったからでもあり、需要がなくなって大阪の経済も厳しくなっています。都構想の実現に多額のお金を投入しており、住民投票2回も計18億円余りかかるなどして、財政悪化の懸念もあります。吉村知事も、新型コロナウイルスの対策で支持を集めましたが、その支持もいつまであるか分からず、国政への挑戦も、そのときの状況次第ではないでしょうか」

   維新の敗北で、国政レベルへの影響は出てくると伊藤さんは指摘した。

「維新は、全国展開を目指してきましたが、1丁目1番地の政策に訴求力がなくなったため、次の総選挙は、厳しい戦いになるでしょう。維新の勢いが止まって票を稼げなくなり、野党の票が割れることも少なくなる結果、維新と良好な関係にある菅義偉政権にも影響が出てくるのではないかとみています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)