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菅野よう子だけじゃない! タカラヅカを彩る「アニソンのクリエイター」たち

   2021年1月から上演の宝塚歌劇団・雪組公演「シルクロード~盗賊と宝石~」において、作曲家の菅野よう子さんが楽曲を提供することが発表された。ショー「シルクロード~盗賊と宝石~」は生田大和さんの演出で、現トップスターの望海風斗さんとトップ娘役の真彩希帆さんの退団公演である。菅野さん楽曲提供のニュースは発表当日のツイッターのトレンドにも上り、様々なジャンルのファンの興味を呼び起こした。

  • 菅野よう子さんと宝塚のコラボでどんな楽曲が生まれるか
    菅野よう子さんと宝塚のコラボでどんな楽曲が生まれるか
  • 菅野よう子さんと宝塚のコラボでどんな楽曲が生まれるか

「はいからさん」主題歌はElements Garden

   菅野さんといえば「マクロス」シリーズ「カウボーイビバップ」などに作曲で携り、その上でJ-POPアーティストへの楽曲提供も数多い。

   しかし菅野さんのようなアーティストが楽曲を提供してきた公演は過去にも少なくなく、ことアニメ・ゲームに関わる作曲家との縁は深い。現在東京宝塚劇場で上演中の花組公演「はいからさんが通る」の主題歌「大正浪漫恋歌」も、音楽クリエイターチームのElements Garden(エレメンツ・ガーデン)の藤間仁さんによる作曲だ。和風の打ち込みサウンドを生かして大正ロマンの世界観づくりに貢献し、舞台を彩っている。

   藤間さんはアーティストでは水樹奈々さんや南條愛乃さん、コンテンツでは「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズや「BanG Dream!(バンドリ!)」などへ楽曲提供してきたが、宝塚歌劇では2013年に雪組公演「Shall We ダンス?」に参加、コミカルな楽曲で芝居にアクセントをもたらした。

   2011年の星組バウホール公演「ランスロット」にも音楽ユニットSound Horizon(サウンドホライズン)の主宰のRevoさんが楽曲を提供した。Revoさんもまた、「進撃の巨人」主題歌などを手掛ける人気ミュージシャンだ。

   とりわけ貢献が多いのは「時空転抄ナスカ」「蒼穹のファフナー」などを手掛けた斉藤恒芳さんである。1999年に宙組公演「激情」で宝塚の公演に初めて参加し、以後直近では2019年花組公演「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」まで合計24作で作曲スタッフに名を連ねている。中でも斉藤さんと特に相性のよかった演出家に荻田浩一さん(1994年~2008年在籍)がいる。荻田さんの作品では「パッサージュ」(2001年雪組)・「バビロン」(2002年星組)、「ロマンチカ宝塚'04」(2004年星組)・「マラケシュ・紅の墓標」(2005年花組)・「タランテラ!」(2006年雪組)・「ソロモンの指輪」(2008年雪組)で作曲を手掛けていた。オリジナルの楽曲もあれば、アニメで使われた曲をアレンジして舞台で演奏された場合もあり、幻想的な荻田さんの作風に不可欠な楽曲を提供。ファンからも信頼される作曲家の1人である。

   斉藤さんは2021年放映予定のアニメ「かげきしょうじょ!」で作曲を担当、宝塚歌劇団をモチーフにした少女歌劇が舞台の本作に携わる縁が生まれた。

演出家との「タッグ」にも注目

   宝塚の公演の楽曲は、専属作曲家によって書かれるものとこれらのように劇団外の作曲家が参加して書かれたものに分かれる。伝統的な宝塚らしさを受け継ぐ専属作曲家の楽曲と、外部の作家の楽曲がミックスすることで舞台に新奇性を生む効果がある。

   またこれらの作曲家たちは、特定の演出家と組んで登板することが多い。藤間さんが参加した2作品はいずれも小柳奈穂子さんの脚本・演出である。「シルクロード」「ランスロット」の2作は生田大和さんが演出を手掛けた。

   アニメ・ゲーム系に限らず、やはり小柳さん脚本・演出の「食聖」(2019年星組)ではヒャダインさんが作曲に参加している。今回菅野さんと共に舞台を作る生田さんも外部の作曲家起用に積極的で、「ひかりふり路」(2017年雪組)でフランク・ワイルドホーン氏、「CASANOVA」(2019年花組)でドーヴ・アチア氏と、海外で活躍するミュージカル作曲家を起用してきている。

   今後の公演でも、演出家とアーティストの感性がコラボレーションし、宝塚に新風を吹き込んでいくことを期待したい。

(J-CASTニュース編集部 大宮 高史)