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井上尚弥を挑発するリゴンドー 技術は世界屈指、対戦「熱望」も専門メディアの評価は...

   ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)の次戦に注目が集まっている。4団体の王座統一を目指す井上にとって、WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)とWBC世界バンタム級王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)が当面のターゲットとなる。ウバーリは12月12日(日本時間13日)にノニト・ドネア(フィリピン)を相手に防衛戦を控えており、試合結果によって状況が変わってくる。

  • 井上尚弥
    井上尚弥
  • 井上尚弥

ビッグマッチから遠ざかり試合枯れ嘆くも...

   世界のバンタム級戦線は井上を中心に回っており、他団体王者はビッグマネーが見込める井上との対戦を望んでいる。次戦の有力候補であるカシメロはSNSを通じてことあるごとに井上を挑発し、自身の存在感をアピールしている。そしてカシメロ同様にSNS上で井上を挑発しているのがWBA世界バンタム級レギュラー王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)だ。

   カシメロに関しては、一度は井上との王座統一戦が決まったものの新型コロナウイルスの影響で試合が延期、中止となった経緯もあり、統一戦の可能性は現実的である。米国内で井上をプロモートするトップランク社のボブ・アラム氏の口からもたびたびカシメロの名が出ており、交渉の余地は十分にあるだろう。その一方でリゴンドーといえば、自身の試合枯れを嘆くばかりでここ数年ビッグマッチから遠ざかっている。

   現在、世界の主要4団体においてバンタム級の世界王者は井上を含めて4人存在する。井上がWBAスーパー王座とIBF王座を保持し、WBOはカシメロ、WBCはウバーリがベルトを巻いている。ここにWBAレギュラー王者のリゴンドーが入ってくるわけだが、WBAにはスーパー王者の井上とレギュラー王者のリゴンドーと、同じ階級に2人の王者が存在している。

米専門メディアではKO負けのモロニーより下位

   WBAが設けるスーパー王座とはいかなる王座なのか。WBAは他団体の王座を統一した王者や防衛を多く重ねた王者をスーパー王者に認定する。井上のケースでいえば、IBF王座を統一したことでスーパー王者に昇格。そして井上がスーパー王者になったためレギュラー王座が空位となり、リゴンドーがレギュラー王座の決定戦に出場する機会を得て2020年2月に王座決定戦に勝利して王座を獲得した。

   リゴンドーはスーパー王者・井上との王座統一戦を熱望しているが現実は厳しい。その要因としてリゴンドーの世界的な「価値」が挙げられる。ディフェンシブなボクシングスタイルは米国内での受けが悪く、興行的にも魅力に欠ける。また、世界王者とはいえ、スーパー王者・井上の格下ということで、世界的評価は芳しくない。海外の専門メディアが独自に作成するバンタム級のランキングでリゴンドーは下位に甘んじているのが現状だ。

   米国の権威ある老舗専門誌「ザ・リング」の最新のバンタム級ランキングでは、王者が井上、1位ドネア、2位ウバーリ、3位カシメロとなっている。リゴンドーは世界王者にもかかわらず、「ザ・リング」の評価は世界8位。10月31日に井上に挑戦して7回KO負けしたジェーソン・モロニー(オーストラリア)が、リゴンドーのひとつ上の7位にランクされていることからもリゴンドーの評価が分かる。

英国専門メディアでのランクも8位...

   英国の歴史ある専門誌「BOXING NEWS」も同様にリゴンドーへの評価が低い。最新の世界バンタム級のランキングでは、1位に井上が君臨し、2位にカシメロ、3位ドネア、4位ウバーリと続く。リゴンドーはここでも8位にランクされ、モロニーは9位にランクインしている。

   世界屈指の技術を持つリゴンドーの実績は、カシメロ、ウバーリを大きく上回り、ボクシングファンの中には井上との対戦を望む声も上がっている。リゴンドー自身、井上と対戦するために階級をスーパーバンタム級からバンタム級に下げたと公言している。ただ井上が望む王座統一にはリゴンドーのWBAレギュラー王座は含まれていない。世界の強豪が井上と対戦するための順番待ちをしている状態にあるなか、リゴンドーにチャンスは巡ってくるのか。来年41歳となるリゴンドーに残された時間はそう多くない。