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PlayStation 5とXbox Series X/S 次世代ゲーム機は「eスポーツ」をどう変えるか

   かねてから発売が予告されていた次世代ゲーム機PlayStation 5とXbox Series X/Sが、ついに登場し、大きな話題となっている。いずれも既存のゲーム機の水準を遥かに超え、現行のゲーミングPCと同水準の性能を持ちながら、価格はその数分の一に抑えられており、今後のゲーミングシーン及びeスポーツの世界に大きな変化をもたらす可能性を秘めた存在だ。

   ついに出そろった両ゲーム機

   PS5が搭載しているCPUはAMDの「x86-64-AMD Ryzen"Zen 2"」で、処理能力を示すクロック数は最大3.5Ghzとなっている。主に画像処理を行うプロセッサであるGPUは「AMD Radeon RDNA 2-based graphics engine」、システムメモリは「GDDR6 16GB」と、既存のゲーミングPCでは20万円近くの機種に相当する。

   対するXbox Series Xが搭載するCPUもPS5と同系列の「x86-64-AMD Ryzen"Zen 2"」だが、単一のCPUで複数のスレッドを実行する同時マルチスレッド機能(以下、SMT)を搭載しており、SMTなしだと3.8GHz、SMTありだと3.6GHzのクロック数を達成している。GPUもやはり「AMD Radeon RDNA 2」シリーズを搭載しているが、公開されているスペックではPS5を上回っている。

   これらの高度な計算能力、画像処理能力は、精緻なグラフィックを素早く壁画する必要がある現代のゲームにおいて、重要な要素となる。特に瞬時の反応や判断が必要なeスポーツのシーンにおいては、ごくわずかなマシン側の処理能力の差が勝敗を分けることもある。高い性能を持つゲーム機がゲーミングPCと比較して安価に手に入るようになれば、より高次元の世界へ足を踏み入れる人間の数も増加する。高いレベルを目指す選手たちも当然増えていくため、eスポーツプレイヤー間での競争はより激化していくだろう。

   しかしながら現在eスポーツの大会では、モバイルタイトルの影響力が徐々に高まっているという現状がある。2021年にNTTドコモが開催する賞金総額3億円のプロリーグでは「PUBG MOBILE」が使用されると発表されている。これはドコモが通信事業者であることが大きく影響していると思われるが、PCやゲーム機を使用するタイトルの割合は、年々減少しているのもまた事実だ。特に次世代モバイル通信「5G」は高速・大容量・低遅延が特徴であり、今後は動画視聴まで含めて、eスポーツの世界でよりモバイルの勢いが増していくものと思われる。

   果たして両ゲーム機は、この流れに対抗するだけの魅力あるタイトル及び良好な対戦環境を構築する力となるのか、今後に注目したい。

   (eスポーツライター 早川清一朗)

(15日23時追記)記事の一部内容を修正いたしました。