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ジョナサン、「ファミレスの雄」40周年に迎えた岐路 「都心」「女子会」強みにコロナ直撃...復活の道はあるか?

   すかいらーくHD(東京都)のファミリーレストラン「ジョナサン」が転換期を迎えている。

   都心部への多店舗展開を特徴としていたが、コロナ禍で都心部の人出が減ったことにより客足が低迷。20年~21年にかけて26店舗の閉店が決まった。今後の展望は。

  • ジョナサンが迎える「転換期」
    ジョナサンが迎える「転換期」
  • ジョナサンが迎える「転換期」

グループ内ではガストに次ぐ「2番手」

   ジョナサンは和洋を問わない総合的なメニューラインアップが特徴で、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)と茨城、山梨、静岡県に合計274店舗(20年11月19日時点)を出店している。東京・練馬区に1号店を構えたのは1980年のこと。喫茶店とレストランの要素を組み合わせた「コーヒーショップレストラン」として、首都圏の都心部に出店を重ねた。

   当時、すかいらーくグループの看板だったブランドは、日本におけるファミレスチェーンの先駆けと言われる「すかいらーく」。グループの創業者の一人で、ジョナス(ジョナサンの運営会社)の社長を務めていた横川竟(きわむ)氏は、2018年9月20日に日本経済新聞朝刊のコラム「私の履歴書」で、こう振り返っている。

「すかいらーくは郊外型だったが、ジョナサンは都心型にした。同時に原点に返った。素材と味にこだわり、単価はすかいらーくより高めに設定。(中略)レストランというより質素な喫茶店のようだ。(中略)ふたを開けるとジョナサンはびっくりするぐらい売れた。1店当たりの平均年商は2億1700万円とすかいらーくを超えた。都心部にレストランがなかったことも奏功した」

   2000年代後半にはグループの経営再建にともない「すかいらーく」が低価格を強みとするファミレス「ガスト」へと転換され、消滅した。その一方で、ジョナサンはグループの中核を担うブランドに定着。19年12月期のすかいらーくHDの売上高3754億円のうち、稼ぎ頭であるガストの1540億円(41%)に次ぐ401億円(10.7%)を占めていた。

ガストは「純増」も...ジョナサンは「純減」

   そうした中、今回のコロナ禍が襲った。8月13日に行われたすかいらーくHDの20年上半期の決算説明会では、東京でも客数の多かったJR山手線内圏の「オフィス街」「繁華街」「都内の観光地」にあるジョナサンが、コロナ禍で客足を大きく減らしていると明かされた。当時の説明会資料によれば「在宅勤務や大学授業のリモート普及などによる外出控え、インバウンド減少の影響が大きい」ことが理由だとしている。

   さらに11月12日、すかいらーくHDの第3四半期決算説明会では、20年~21年末にかけてグループ200店舗を閉店する(閉店した店舗を含む)と発表された。新型コロナウイルス感染拡大による客数・売上の減少が響いた形だ。

   閉店する200店舗の内、ガストが45店、ジョナサンが26店を占めた。ガストに関しては新規出店なども多いことから、全体としては閉店より出店の方が多い「純増」になる見込みだという。

   一方、ガストより閉店数の少ないジョナサンだが、全体としては出店よりも閉店の方が多い「純減」の見込みだ。その具体的な数について、すかいらーくHDの金谷実取締役常務執行役員は説明会で「70店」と説明していた。ただ、すかいらーくHDの広報は11月18日、J-CASTニュースの取材に対し「転換予定が未だ流動的な状況となっており、(純減の)正しい数値をお伝えすることが難しい」と説明を改めている。

   ジョナサンの現状について、すかいらーくHDの谷真代表取締役会長兼社長は説明会で「都心部については、当面の間かなり厳しいという風に思っている」と語った。実際に、直近では渋谷桜丘店(11月5日閉店)、大久保店(11月5日閉店)、目黒店(11月8日閉店)のように、JR山手線の駅前にあるような好立地店が閉店したケースも発生している。

「から好し」併設ガストへの転換も

   苦境に陥っているジョナサンをどうテコ入れしていくのか。一つは、グループ内の他ブランドへの業態転換で活性化を図るというものだ。

   例えば、前述のジョナサン渋谷桜丘店、目黒店、大久保店は11月中に「ガスト」へ転換され、すでに再オープンしている。また、すかいらーくHDではコロナ禍でのテイクアウト需要に対応し、「ガスト」の中に唐揚げチェーン「から好し」を設ける取り組みを進めてきた。説明会資料によれば、10月末で「から好し」を併設したガスト195店舗は、未併設のガストと比べて総売上が+8%を記録したという。

   「から好し」併設型のガストは12月末まで480店の展開を目指しており、ジョナサンから転換した渋谷桜丘店、目黒駅東口店も「から好し」併設店だ。ガストの他には、パンケーキが人気の「むさしの森珈琲」やハワイアンレストランへの転換も図るとした。

   既存のジョナサンはどうか。説明会で、谷代表はロードサイドにあるジョナサンの店舗について、従来「女子会」などを開いていた40〜50歳前後の女性利用者の割合が、コロナ禍で減少したと説明。「(食事に)誘うこと自体が憚れる世相の中で、ジョナサンは厳しい業績として出ている」とした。

   その一方で、GoToイートキャンペーンなどをきっかけに「夢庵」「藍屋」といった和食チェーンにシニア層が訪れるようになったとし、谷代表は「メニュー改定も含めて、もう一度女性の方に誘い合って来ていただけるような施策をしっかりと打っていく」と、ジョナサンの客足回復にも期待を示した。