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海外が評価する「日本のコロナ対策」、でも自国民は悲観的 国際調査で「落差」浮き彫り

   コロナ禍への対応について世界6か国で行われた世論調査で、日本の対応は他国から比較的高く評価されているのに対して、日本国内での評価が特に低いことが明らかになった。さらに、家計への影響が長く続くとする見る人は日本が突出。ワクチンが2021年に接種できるようになり、公平に配布されると考える人の割合は日本が最も低く、総じて今後について悲観的にみていることが浮き彫りになった。

  • 日本のコロナ対応への評価は様々だ(写真は国立感染症研究所提供)
    日本のコロナ対応への評価は様々だ(写真は国立感染症研究所提供)
  • 日本のコロナ対応への評価は様々だ(写真は国立感染症研究所提供)
  • 日本では2021年中にワクチンの接種を受けられるか(左グラフ)、公平に配布されるか(右グラフ)の両方について、6か国のうち最も悲観的だ。日本が各グラフの右端(写真は「ケクストCNC(Kekst CNC)」の発表資料から)

他国からはベスト3、日本国内からは16か国中10位の評価

   調査はPRコンサルティング会社の「ケクストCNC」(Kekst CNC)が英国、スウェーデン、ドイツ、フランス、米国、日本の6か国で2020年11月20日から12月1日にかけて行い、各国で成人1000人ずつが回答。集計結果が12月14日に発表された。調査が行われたのは今回が6回目で、そのうち5回について、日本で調査が行われている。

   国内から激しい批判を受ける日本のコロナ対策は、国外からは違った見え方をしているようだ。自国を含む世界16か国・地域についてコロナ対応を評価してもらう項目で、日本以外の5か国では、日本の評価は2~3番目に高かった。一方、日本国内の調査で最も評価が高かったのは韓国。自国・日本の評価は香港、オーストリア、スイスなどに続いて10番目だった。6か国全てで最も評価が低いのは米国だった。

   日本では雇用主への評価も厳しい。「組織としての一体感を構築する」「リモートワークでもポジティブな環境を構築する」「健康維持の支援をする」など7項目についてプラスかマイナスで評価してもらう設問では、日本以外の5か国で大半の項目がプラス評価を受けた。対する日本では、14項目でマイナス評価がついた。日本で最も厳しい評価だったのが「従業員に強いメッセージを届ける」の項目で、差し引き23%のマイナスだった。

「可能になったら接種受ける」、日本では50%

   今後の見通しも総じて悲観的だ。新型コロナのワクチンについて、21年中に接種可能になるだろうと考える人は、英国80%、米国66%、ドイツ62%、スウェーデン69%、フランス58%、日本34%。接種可能になった場合、公平に配布されると考える人は英国56%、米国48%、ドイツ47%、スウェーデン53%、フランス37%、日本30%で、いずれも日本が最も低かった。

   日本では期待感も低い。接種可能になった場合、接種を受けると答えた人の割合は、英国70%、米国58%、ドイツ63%、スウェーデン53%、フランス45%、日本50%で、日本は2番目に低い。

二者択一なら「経済よりも感染抑制」

   さらに、日本では新型コロナの影響が今後1年以上続くという人が8割を超える。特に他国との差が際立つのが「自分の家計への影響」が1年以上続くと答えた人の割合だ。英国45%、米国45%、ドイツ47%、スウェーデン50%、フランス52%なのに対して、日本は実に81%に達している。

   ただ、感染抑制と経済の二者択一を迫られた場合、日本は6か国の中で、経済よりも感染抑制を優先すべきだとの傾向が強いことも明らかになった。

「政府は、たとえ大規模な景気後退や不況が起きて、倒産や多くの失業につながったとしても、感染拡大と死者数を抑えることを優先すべきだ」
「政府は、感染が広がって死者が増えたとしても、大規模な景気後退や不況を回避して雇用や企業を守ることを優先すべきか」

のどちらかを選んでもらう項目で、前者の感染抑制を重視する選択肢を選んだ人の割合は、英国56%、米国49%、ドイツ48%、スウェーデン47%、フランス40%、日本49%。後者の経済を重視する選択肢を選んだ人の割合は英国28%、米国33%、ドイツ30%、スウェーデン28%、フランス35%、日本19%で、日本が最も低かった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)