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オンライン面接の「コツ」教えます コロナ時代の就活生の「不安」、プロにぶつけてみた

   合同説明会の延期・中止に始まり、オンライン説明会、オンライン面接と、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2021年卒の就職活動。今後しばらく状況は続くとみられ、22年卒の学生も感染対策を施したうえでの就活になると思われる。

   就活を控えた学生からは不安の声もあがる。J-CASTニュースは12月15日、学情(本社:東京都中央区、大阪市北区)学校企画部と、広報部の担当者にそれらの声に対する見解を聞いた。

  • コロナ禍の就活に不安の声(画像はイメージ)
    コロナ禍の就活に不安の声(画像はイメージ)
  • コロナ禍の就活に不安の声(画像はイメージ)

学生の9割以上が「不安がある」

   学情は2020年11月2日、22年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生239人を対象に実施したインターネットアンケート(調査期間:10月24日~28日)の結果を発表。

   「就職活動に不安がある」と回答した学生は全体の97.1%に上っている。

学生の9割以上が「不安がある」と回答
学生の9割以上が「不安がある」と回答

   就活生は具体的に何を「不安」と感じているのだろうか。J-CASTニュースが大学3・4年生の学生4人に話を聞いたところ、すでに就活を終えた4年生の学生からは、

「自分の周りだと、今年は『インターンいかなきゃ』となってる子が多い印象。就活に危機感というか、漠然とした不安を抱えている」
「面接開始時期・筆記試験などの日程がずれ込んだ。大きくない企業ほどずれた印象」
「一番大変だったのが、オンライン上のディスカッション。話すタイミングがわかりづらい」

といった苦労話が。これから就活を始める3年生の学生からは、

「OB・OGにあまり会えない、直接行くことによるメリットがなくなった」
「学校でオンライン面接対策はやっているが、予約いっぱいで取れない。気軽に大学に行けなくなってしまったので、ちょっとした不安が聞けない」

というような不安の声が漏れた。

   さらに学情の発表資料、ツイッターの声などをもとに「コロナ禍の就活の不安」をまとめると、次のようになる。

オンライン上のやり取りの不安
〇面接でどこを見ていいかわからない
〇自己アピールのコツ
〇ディスカッションで話すタイミングが難しい
就活全体の不安
●訪問機会が少なく、社風が分からない
●採用枠が減り、内定のハードルが高くなっているのでは
●就活は長期化するのか

   「オンライン面接」「オンラインディスカッション」といったコロナ禍ならではの試みに、就活生も頭を悩ませている様子。採用枠の減少など、状況そのものを不安視する声もあった。

オンライン面接、ディスカッションのコツは?

〇話すときは、紙を見ない

   まずは「オンライン面接」の基本を、各大学で学生に就職指導を行う学情の学校企画部の担当者に聞いた。

   担当者によれば、面接時の背景は壁紙などを設定せず、通常のままで良い。端末を置く位置にも注意が必要だといい、

「オンライン面接に使うパソコン、特にスマホは、下に置くと下からのアングルになるので高い位置においてほしいです」

としている。

   そして気にする声も多かった、面接中の「目線」。担当者は気を付けるべきことを次のように話している。

「用意している紙を見るために横に視線を移すと、人事側にはかなり目立ちます。横や下の物に視線を移すことは控えた方がいいです」

   オンラインだと面接用の「カンペ」を用意している人もいるかもしれないが、あからさまに見るのはやめた方がいい...いうことのようだ。

〇自己アピールは「表情」を伝える

   オンライン上でのアピールはどのようにしたらいいか。担当者に聞いてみると、

「きれいな言葉で、用意してきたものを伝えようとするとより固く映りがちです。頑張ったシーンを思い出しながら、極力具体的に話す方が普段の表情が出やすいです」

   とのこと。これは対面式の面接でも共通するポイントと言えるだろう。

   また、もう一つ気を付けたいのが「照明」。暗い照明を背にすると顔が影になり、さらに暗く映るため表情の変化が伝わりにくいという。

〇ディスカッションは「話したい時に話す」

   「オンラインディスカッション」のコツだ。学生からは「話し出すタイミング分からない」との声があがっているが、コツはあるのか。

「多少かぶってもいいので話したい時に話せばよい、という気概で。声がかぶったら適度に譲りあうくらいでOKです。同じ空間にいないと空気を読みながらできないので、振られなくても間が空けば話していいという気持ちが大事です」(学校企画担当者)

   同時に話し出したらどうしよう――などという心配はしなくていいようだ。

「社風がわからない」対策は

●合同説明会に参加→社風の違いが感じられるように

   オンライン上の説明会や面接が増えたことで会社に行く機会が減ってしまい、「社風が分からない」といった声もある。コロナ禍の就活でも社風を知る方法はないのだろうか。

「対面型の合同説明会に数回でもいいので来場、学内・学外のオンライン合同説明会にも極力参加することです。興味が薄い・調べていない業界や、企業の説明会にもどんどん参加しましょう。企業も歓迎してくれます。説明会を通してたくさん見たり聞いたりすることで、社風の違いが感じられるようになってくると思います」(学校企画担当者)

   会社と接触し社風を知るという意味ではインターンシップも手段の1つ。担当者によればインターンに参加した学生と企業の特別コミュニケーションは今もあり、その意味合いは2022卒シーズンでも強まっているという。

   就活事情に詳しい別の担当者(広報担当)によれば、今年はオンラインで開催されるインターンシップが多く、参加日程を調整しやすいといったメリットもある。

「例年よりも多くの企業のインターンシップに参加している学生もいます。年明け以降も、インターンシップや1日仕事体験、1日業界研究セミナーの開催を予定している企業も多いので、興味のある企業があれば1月や2月に一度参加してみるのもおすすめです」(広報担当者)

2022卒の就活はどうなる?学情の見解は

●企業の採用意欲に「大きな変化はない」

   学生からは新型コロナウイルスの影響で採用枠が減り、内定のハードルが高くなっているのではないかとの声もあった。実際はどうなのか。

「企業の採用意欲は特定の業界(エアライン、旅行等)を除くとそこまで大きな変化はないです。ただし人気企業(食品メーカー、メガベンチャーなど)のインターンに人気がより集中しており、『狭き門』という印象を持っている学生は増えています」(学校企画担当者)

●就活は後回しに?

   今年に引き続き来年も心配されているのが「就活の長期化」。2021年卒の採用では緊急事態宣言による2か月以上の空白により長期化は避けられないというが、22年卒はどうなるのか。

「22年卒も学生の動きはややゆっくり。意識の高い学生とそうでない学生の二極化はすでに言われ、その極の深さはさらに進んでいる印象です」(学校企画担当者)

   オンライン授業で課題が多くなり、就活が後回しになっている傾向があるという。

   また、大学が開催するキャリア支援の企画・講座が、最初からオンラインということもあり、学生の就活熱を上げるのに学校側は苦労していると担当者。

「これから就活する学生は、同級生や4年生と気軽に話したり情報交換をしたりすることなく1人で孤独に就活を始めているため、不安感ばかり強まっています。そのことへの危機感が大学では強いです。 保護者や、対面授業率が高いゼミの先生を巻き込むなど、就活へ踏み出させる刺激策の多様化・試行錯誤が進んでいますが、なかなか学生に届きません」(学校企画担当者)

   広報担当者も就活の一部がオンラインになる可能性は今年も高いと予測。ただ、今年は企業側もそれを見越して準備しているといい、

「企業側もホームページの内容を充実させたり、動画を制作したりするなど、学生が企業のことを知れる機会を充実させています。ナビサイトだけでなく、ホームページなど、様々な角度から企業を知ることが、今年の就職活動のポイントになると思います」(広報担当者)

としている。