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LCC・ZIPAIR、コロナ禍でホノルル線就航 初便に「過去最多」26人が搭乗

   日本航空(JAL)が出資している中長距離格安航空会社(LCC)の「ZIPAIR(ジップエア)」は2020年12月19日、成田とハワイ・ホノルルを結ぶ路線を開設した。同社の路線としては、成田-バンコク(スワンナプーム)、ソウル(仁川)に続く3路線目。

   コロナ禍で国境を越えた往来が厳しく制限され、国際線旅客の需要回復は見通せない状況が続く。同社が運航する飛行機は乗客290人乗りだが、ホノルル行き初便に搭乗したのは26人。それでも、バンコク、ソウル便を含めてZIPAIRの乗客としては過去最多だった。ZIPAIR運航会社の西田真吾社長は「これで十分ありがたい」とする一方で、本格的往来が復活するまで「耐えていかざるを得ない」と話した。

  • ZIPAIRのホノルル行き初便には乗客26人が搭乗した。空港係員がペンライトを持って見送った
    ZIPAIRのホノルル行き初便には乗客26人が搭乗した。空港係員がペンライトを持って見送った
  • ZIPAIRのホノルル行き初便には乗客26人が搭乗した。空港係員がペンライトを持って見送った
  • 成田空港を離陸するZIPAIRのホノルル行き初便

16往復中3往復は予約入らず運休に

   米ハワイ州では、訪問者に義務づけてきた14日間の自主隔離について、日本からの訪問者については、事前に医療機関で陰性証明書を取得すれば自主隔離の対象外になっている。ただ、帰国後は引き続き14日の待機が必要で、ハワイ旅行のハードルは引き続き高い。 ZIPAIRが11月20日にホノルル線開設を発表した際は、貨物需要が見込める日を中心に、20年12月~21年1月にかけて臨時便として16往復すると発表していた。だが、12月4日になって、そのうち3往復の運航を中止することを発表。予約が全く入らなかったことが原因だ。

   30人が予約していたが、そのうち4人は出入国書類の不備でチェックインが受け付けられず、実際に搭乗した乗客は26人。衣類や機械部品などの貨物14トンも積んで、20時過ぎに成田空港を出発した。

初便は「片道のご利用がかなりいらっしゃる」

   西田氏は出発を前に開いた記者会見で、30という予約数について、

「こういうコロナ禍での国際線の就航で、あまり多くのお客さまがお集まりになるとは期待はしていかなかったので、これで十分ありがたい」

   とする一方で、「ホノルルは観光都市で、この規模でずっと持続するのも難しいと思っている」とも話し、需要回復まで「耐えていかざるを得ない」とした。

   通常、ホノルル線は往復で予約する観光客が大半だが、西田氏によると、今回の初便は「片道のご利用がかなりいらっしゃる」。米国のビザ免除プログラムは往復の航空券を持っていることが前提となっており、「片道のご利用ということは、何らかの形で向こうに入国できるグリーンカードを持っているのかビザを持っているのか、米国(国籍)の方なのか、ということだと思う」として、初便搭乗の26人のうち観光客はきわめて少ないとの見方を示した。

ETOPS認証で「太平洋を渡るための第1歩」

   ソウル、バンコク線は安定した貨物需要が見込めるため、定期便として運航されている。だが、ホノルル便はその水準に達しておらず、2月以降も臨時便としての運航が続く見通しだ。

   ZIPAIRにとってホノルル線は、長距離の洋上飛行に必要な認証「ETOPS(イートップス)」を得て運航する初めての路線だ。西田氏は「これが太平洋を渡るための第1歩」として、ホノルル線を米西海岸就航のための足がかりにしたい考え。現時点での路線の意義について

「短期的には、いわゆる観光のお客さまがそれなりに戻って、座席の利用率が増えて...ということを考えられる状況にはない」

として、

「やはりETOPS運航を始めて体制を確認しながらオペレーションを安定させていく」

などと話した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)