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マヂカルラブリー優勝ネタは「漫才」か「コント」か M-1視聴者が激論

   漫才日本一を決める「M-1グランプリ」が2020年12月20日に開催され、テレビ朝日で中継された。決勝では7人の審査員から3票を獲得した「マヂカルラブリー」が優勝したが、その結果に対し、ネット上では「こんなの漫才じゃない!」といった視聴者の声がこだましているのだ。

   「マヂカルラブリー」が決勝で披露したのは、電車のつり革に意地でも捕まらない人を表現した漫才で、登場人物を野田クリスタルさん(34)が演じ、その様子に対して村上さん(34)がツッコむ形で漫才が披露されたが、視聴者が難じているのは、その「フォーマット」だ。

  • 「M-1グランプリ」公式サイトから
    「M-1グランプリ」公式サイトから
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「掛け合いがないのは漫才とは呼ばんっ!!」

   漫才開始直後から野田さんは、両脚をバタつかせて必死にバランスを取ろうとする乗客を熱演。徐々に電車の揺れジェットコースターのような非現実的なものになり、漫才中盤では乗客を演じる野田さんがスタジオの床に寝転ぶなど、実際には起こりえないそのあり得なさと、演者のオーバーアクションが笑いを誘う内容で、その様子に対して村上さんがツッコむ形で漫才が披露された。

   ただ、ネタの披露中、野田さんはほとんど言葉を発することなく、ただただ乗客を演じるのみ。このため、放送を見た視聴者から「来年から一気にM-1のレベル低くなりそうやね。しゃべくり漫才せんで動きで笑わせたらいいんやから。漫才ナメんなよ」といった声が続々と上がっているほか、「マヂカルラブリーはコントやから、コ・ン・トっ! 何も喋らん、掛け合いがないのは漫才とは呼ばんっ!!」と、もはや「漫才」の定義から外れているのではないかとする声も上がっているほどだ。

   確かに、本番中ではオーバーアクションを披露する野田さんに対して村上さんがツッコんではいるものの、野田さんからの返答はなく、もはや、「ツッコミ」というよりは「実況」といった状況だった。通常の漫才ではボケ役が発した言葉に対し、ツッコミ役が反応するという構図が存在するが、マヂカルラブリーの場合は、スタジオ内で「荒ぶる」野田さんに対し、村上さんが一方的に言葉を浴びせるだけで、「掛け合い」というものはほとんどなかったと言って良い状況だった。

「漫才の根幹を捨て去ったネタがめちゃ良かった!」

   ただ、この「掛け合いなし」の漫才を、「マヂカルラブリーの掛け合いがないという漫才の根幹を捨て去ったネタがめちゃ良かった!」といった形で評価する声も多く、ネット上を見渡してみると、今回の「M-1」に満足したとの声は多い。事実、優勝発表後の講評では、審査員を務めた「ダウンタウン」の松本人志さん(57)が「いつもは2組で(どちらを優勝にするか)悩むんですけど、今回は初めて3組で(悩んだ)」と明かすなど、マヂカルラブリーを含め、3組の決勝出場者がハイレベルな戦いを繰り広げたことには疑いの余地はない。そう考えると、今回、マヂカルラブリーが示した「フォーマット」が、新たな漫才の形式として受け入れられていく可能性は決して低くないのではないだろうか。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)