J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

浜崎あゆみから「最高のクリスマスプレゼント」 無観客YouTube配信で見せた「復活の糸口」

   歌手の浜崎あゆみさん(42)が2020年12月24日に開催したクリスマスイブコンサートがファンから絶賛を浴びている。

   浜崎さんは当初、このコンサートを「有観客・無配信」で実施予定だったが、新型コロナウイルスの流行が進んでいることを鑑み、開催3日前に「無観客・有配信(無料・YouTubeにて)」での実施に変更。このため、ネット上では「楽しみにしていたのに残念」といった、コンサートを生で観賞すべくチケットを入手したファンから、意気消沈する声が上がることとなった。

   ただ、その一方で、コンサートの配信が終わるや、今度は一転して「あゆちゃんのクリスマス生配信ライブ、最高のクリスマスプレゼントでした」といったツイートが続々と上がる事態となっている。また、別のアカウントは「マジで今回神セトリすぎる なんでこれ無料なの...」と、無料とは思えないクオリティーだったと驚愕しているのだ。

  • 浜崎あゆみさんのYouTubeチャンネルから
    浜崎あゆみさんのYouTubeチャンネルから
  • 浜崎あゆみさんのYouTubeチャンネルから

「いつかのメリークリスマスで涙腺崩壊したよね」「これが無料だなんてありがとうございます」

   コンサートで浜崎さんは計9曲を披露したが、そのうちの6曲はバラードで、近年の浜崎さんのコンサートにありがちなロックは少なく、まさに、「原点回帰」と言える内容。「M」「Momentum」「appears」といった往年の名曲でファンをうならせたが、それにも増してファンを驚かせたのが、浜崎さんが他の歌手の楽曲をカバーしたことだった。

   4曲目に浜崎さんが披露したのはB'zの「いつかのメリークリスマス」。浜崎さんはこれまでに同曲を1999年12月の「ポップジャム」(NHK総合=放送終了)や、2001年12月放送の特別番組「浜崎あゆみ&Gackt 夢のクリスマスショー」で披露してきたことがあるため(Gacktさんとはデュエット)、浜崎さんの初期からのファンにはたまらない一曲。このため、ネット上には「いつかのメリークリスマスで涙腺崩壊したよね。一気に2001年くらいにタイムスリップしたよね」といった声が続出したのだ。

   さらに、浜崎さんは5曲目にもカバー曲として桑田佳祐さんの「白い恋人達」を披露。同曲に関しては2002年12月に「HEY!HEY!HEY!」(フジテレビ系=放送終了)でCHEMISTRYとコラボする形でカバーを披露していたため、やはり、「2002年のころのあゆを思い出したわ~ これが無料だなんてありがとうございます」といった絶賛が続出したのだ。これら、「自身の名曲」「芸能活動初期に披露していたカバー」が中心となったセットリストは、多くのファンを魅了したのだった。

急遽実施方法が変わったことが「大正解」

   さらに、今回は急遽実施方法が変わったことが、結果的にではあるものの、「大正解」だったとみられるのだ。というのも、前述の通り、今回のコンサートは当初は「有観客・無配信」で実施するはずだったが、コロナの流行により、開催3日前に「無観客・有配信(無料・YouTubeにて)」に変更された。

   このため、本来ならコンサートを観覧できたのは約2000人だったのだが、YouTubeでは最大で約3万9000人が視聴。実に、20倍近い人々が浜崎さんのコンサートを鑑賞できたのだ。さらに言うなら、「無料」という要素は、前述の「一気に2001年くらいにタイムスリップしたよね」「2002年のころのあゆを思い出したわ~」といった声が多く上がっているところからして、浜崎さんの「かつてのファン」を呼び戻す効果があったのではないだろうか。

「しゃがれ感」が増してきた浜崎さんの声が、「白い恋人達」に絶妙にマッチ

   さらに、今回、浜崎さんがカバー曲でファンをうならせたのは、近年、その活動が「迷走している」と揶揄される浜崎さんが、その勢いを取り戻すための「指針」を自ら探り当てたと言えるパフォーマンスを披露したからではないだろうか。そのキモはズバリ、「男性歌手のバラード曲のカバー」である。

   というのも、ここ4、5年、浜崎さんに対してはコンサートに行ったファンから「高音部分が出ていない」との指摘が上がることが多かったのだ。実際、今回のコンサートでも、7曲目の「evolution」と8曲目の「Unite!」では、サビの部分で浜崎さんの声が途切れがちになるシーンが散見されており、初期に比べると高音が出づらくなっている感は否めなかった。

   一方、「いつかのメリークリスマス」と「白い恋人達」の際には、浜崎さんは終始安定して歌唱を披露。さらに、サビの部分では声量が大幅にアップするなど、浜崎さんの声域と楽曲のキーが調和しているのが分かる状態となっていた。特に、「白い恋人達」のサビの部分に関しては、近年、「しゃがれ感」が増してきた浜崎さんの声が絶妙にマッチするなど、本人の新たな魅力が引き出されていたのだ。

   となれば、今後、浜崎さんは自身の楽曲を披露する傍ら、「男性歌手のバラード曲のカバー歌手」としても活動できることになる。「往年の自身の名曲」と「男性歌手のバラード曲のカバー」という2本の柱を立てることで、浜崎さんは新たなステージに立つことが出来るのではないだろうか。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)