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「クルマのカタログ」で時間旅行 スバル・オンラインミュージアムの充実ぶり

   SUBARU(スバル)の「オンラインミュージアム」が人気だ。2020年秋に開設したもので、スバルのクルマや歴史を紹介しているほか、バーチャル工場見学やゲームなど多様な内容となっている。

   コロナ禍の最中だけに、自動車メーカーは公式サイトの充実を図っている。トヨタ自動車が「トヨタ博物館」の公式YouTubeチャンネルを開設。日産自動車が「ヘリテージコレクション」の一部をネットで公開するなどしている。2020年に100周年を迎えたマツダやスズキも自社の歴史を振り返る特設ページを設けている。クルマ好きにとって、コロナ禍で外出がままならない昨今は、オンラインでクルマを楽しむのが一番かもしれない。

  • SUBARU本社ビル
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「スバリスト」「スービー」に応える内容

   スバルのオンラインミュージアムも他社に勝るとも劣らない。スバルファンは「スバリスト」(米国では「スービー」)と呼ばれるマニアックなファンが多いだけに、オンラインミュージアムもそれに応える充実した内容。昨秋の開設後も日々、内容を充実させている。

   スバルの歴代のクルマだけでなく、過去に市販したスクーターやオートバイなどを紹介する「技術資料車コレクション」は圧巻だ。今の若いスバリストは、かつての富士重工業(スバルの前身)が「ラビット」というスクーターや「ハリケーン」というオートバイを生産・販売していたことを知る人は少ないだろう。

   戦前の航空機メーカー、中島飛行機をルーツにもつスバルは戦後、富士重工業として再出発し、当初はスクーターなど2輪車を生産した。1958年発売の軽乗用車「スバル360」が大ヒットし、自動車メーカーとしての地位を築いたが、今日の「レガシィ」「インプレッサ」「フォレスター」などに続く水平対向エンジンとシンメトリカルAWDのルーツは、1966年発売の「スバル1000」に遡る。

   スバル360のリヤエンジン・リヤドライブ(RR)のレイアウトは2012年の自社製「サンバー」の生産終了(ダイハツ工業からのOEMに移行)で途絶えてしまった。それに対して、スバル1000のフロントエンジン・フロントドライブ(FF)と水平対向エンジンを核とする独創的なレイアウトは、現在のシンメトリカルAWDに通じる。

カタログから読み取る時代背景

   オンラインミュージアムの「技術資料車コレクション」はスバルの歴史と技術革新を知るうえで好ましいが、とりあげる車種の選定基準はあいまいで、もっと紹介すべき名車はあるはずだと、不満に思っているスバリストもいるに違いない。

   それでもスバルらしいのは、それぞれの車種の説明文だけでなく、当時のカタログも紹介していることだろう。懐かしいカタログを眺めると、スバルというメーカーが、いつの時代も「走り」を重視したスポーティーなクルマを志向していることがわかる。当時の時代背景や文化も読み取れる。

   スバルに限らず、オンラインでクルマを楽しむコンテンツは増えている。車好きにはコロナ禍の今こそ、ポストコロナに備え、クルマの歴史を振り返り、基礎知識を仕入れておくチャンスかもしれない。