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蓮舫氏の得意スタイルだけど... 国会議員の「糾弾型」質問、正直どう思う?

   新型コロナウイルス対策をめぐる2021年1月27日の参院予算委員会でのやり取りで、菅義偉首相が立憲民主党の蓮舫代表代行の追及に対して思わず「少々失礼じゃないでしょうか」と口にする場面があった。

   蓮舫氏は糾弾型の質問を得意としており、この日も菅氏に対して「そんなメッセージだから、国民に危機感が伝わらないんですよ!」と声を張り上げた直後の出来事だった。

  • 参院予算委で質問に立つ立憲民主党の蓮舫代表代行(写真は参院インターネット中継から)
    参院予算委で質問に立つ立憲民主党の蓮舫代表代行(写真は参院インターネット中継から)
  • 参院予算委で質問に立つ立憲民主党の蓮舫代表代行(写真は参院インターネット中継から)

「そんな答弁だから、言葉が伝わらないんですよ!」

   蓮舫氏は約1時間20分にわたって質問に立った。菅氏の異例の反応のきっかけになったのは、開始から約35分が経過した頃のやり取りだ。田村憲久厚労相が、自宅療養中や宿泊療養中に死亡した人が20年12月1日から21年1月25日にかけて29人いたことを答弁したことを受ける形で、蓮舫氏は

「この29人のね、命。どれだけ無念だったでしょうかね、総理、その重み分かりますか?」

と菅氏に発言を求めた。

   菅氏が「えー、そこはあの、大変申し訳ない...思いであります」と答弁すると、蓮舫氏は「もう少し言葉ありませんか?」。菅氏は「心から申し上げましたように、大変申し訳ない思いであります」と繰り返した。この答弁姿勢を、蓮舫氏は語気を強めて非難した。

「そんな答弁だから、言葉が伝わらないんですよ!そんなメッセージだから、国民に危機感が伝わらないんですよ!あなたには総理としての、自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする、そういう思いはあるんですか?」

「ただ、伝える努力が足りない、って言ってるんです」

   この非難に対する菅氏の反応が、「少々失礼じゃないでしょうか」というものだ。菅氏は続けて、

「私は少なくとも総理大臣に昨年の9月16日に就任してから、何とかこのコロナ対策、1日も早い安心を取り戻したい、日本そのものに。そういう思いで全力で取り組んできたんです。そういう中で、必死の中で取り組んでくる中で私自身はできることはさせていただいてきてます」

などと懸命に取り組んでいることを強調。与党席からは「よし!」の声とともに拍手があがり、蓮舫氏は

「その精一杯を否定はしません。ただ、伝える努力が足りない、って言ってるんです。私やっぱり、この総理のもとでね、特措法を改正して入院拒否に刑事罰を科すなんてことは絶対にやっちゃいけないと改めて思った。とにかく入院先を探す、それを優先しなければやってはいけないと思います」

と応じた。

長蛇の列できた「ニコニコ超会議」の「VR蓮舫」

   蓮舫氏がかつて代表を務めた民進党では、その糾弾型のスタイルを売りにしていたことがあった。例えば17年の「ニコニコ超会議」では、参加者が専用のゴーグルをつけて、首相の立場で蓮舫氏の追及を疑似体験するという趣向の「VR蓮舫」を出展。

「多くの大臣が味わった蓮舫の追及をアナタは耐えられるか...」
「総理大臣として動揺を検知されながら国会審議VR体験!」
「平常心を保ち総理大臣の職務を果たせ!」

といったアピールが評判になり、会場では長い列ができた。

   ただ、こういった質問のスタイルを世論が肯定的に受け止めるかは不透明で、蓮舫氏は質疑終了後にツイッターに

「いつも反省するのですが、想いが強すぎて語気を張ってしまうことを。提案した内容がきちんと皆さんに伝わるよう、引き続き取り組みます」

と反省の弁を書き込んだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)