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普通は「あつ森」でしか見られない? 謎の深海魚「リュウグウノツカイ」生体展示に反響

   兵庫県豊岡市の水族館「城崎マリンワールド」が、大型の深海魚「リュウグウノツカイ」を生きた状態で展示することに成功した。

   展示された個体はもともと弱っていたこともあり、すでに息を引き取ったが、今後は標本として保存される。城崎マリンワールドの担当者は2020年2月9日、J-CASTニュースの取材に対し、謎に包まれたリュウグウノツカイの生態調査に役立てていきたいと話す。

  • 泳ぐリュウグウノツカイ(城崎マリンワールドより)
    泳ぐリュウグウノツカイ(城崎マリンワールドより)
  • 泳ぐリュウグウノツカイ(城崎マリンワールドより)
  • リュウグウノツカイ

「生きた状態で展示できるのは水族館でも数例」

   リュウグウノツカイは細長い姿をした深海魚。城崎マリンワールドの担当者によれば7日、近隣にある竹野海岸の定置網で捕獲されたものを譲り受けたという。この個体は一般客に向けて同日から公開、その様子を公式インスタグラムでもライブ配信した。

   インスタグラムの動画では、スタッフがこう説明している。

「生きた状態で展示できるのは水族館でも数例でしか聞いておりませんので、とても珍しいことかなと思います。普通は冷凍標本、『あつもり』でしか見たことないと思います」

   リュウグウノツカイは、任天堂の大人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」でも貴重な魚として登場する。このゲームでは、捕獲後に水族館で生体を展示することができるのだが、現実の水族館では希少だ。「リアルあつもり状態」と称する声もあった。

   同個体の体長は約190センチメートル。全身は銀色で、灰色の短い線のような模様がところどころに確認できる。赤みを帯びた半透明の長い背びれは、泳ぎにあわせて波打つように動いた。

   J-CASTニュースの取材に応じた城崎マリンワールドの担当者によれば、定置網などで捕獲できるような水深まで来ているリュウグウノツカイは正常でない、もしくは弱った個体であることが多いため、生体での保護は難しい。同館が展示したリュウグウノツカイも、展示から数時間後に亡くなった。

「人々が生き物を知るきっかけ」に

   そんなリュウグウノツカイを短い時間ながらも展示に踏み切った理由について、担当者はこう述べる。

「水族館には生き物の生態調査・研究を行う役割や、人々が生き物を知るきっかけを作るという役割があります。そこで今回リュウグウノツカイを展示することに決めました」

   城崎マリンワールドではいくつかリュウグウノツカイの標本を保存しており、最も大きいものは4メートルもある。しかし深海魚であるリュウグウノツカイの生態についてはまだわかっていないことが多いという。

   どんなものを食べているのか、どういう体の構造をしているのか、そういったものを知る手掛かりになってほしいという思いから初めての生体展示を行った。

「体表の傷、鰭の損傷がありましたが、今まで搬入した個体の中では一番状態がよかった。今回の個体は、いろいろな部位の観察を行い、標本として保存しています」

   続けて、こう話した。

「多くの方がこのリュウグウノツカイに興味を持って頂いていることに驚きました。リュウグウノツカイ等様々な海の生物に興味を持って頂き、彼らの棲む環境のために少しでも考えて頂けると嬉しいです」