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橋本聖子新会長を待つ「イバラの道」 大会関係者「セクハラ騒動は批判根強い」「常に森さんの影」

   東京五輪・パラリンピック組織委員会は2021年2月18日、都内で理事会、評議員会を開催し、女性蔑視問題で会長を辞任した森喜朗氏(83)の後任に橋本聖子氏(56)を選出した。

   森氏が引責辞任を表明後、会長の後任人事を巡るドタバタ劇にようやく終止符が打たれた。複数の候補者のなかから会長に選出された橋本氏だが、果たして東京五輪・パラリンピックの新たな「顔」としてふさわしい人材なのか。J-CASTニュース編集部は、複数の大会関係者に話を聞いた。

  • 橋本聖子氏(2019年11月撮影)
    橋本聖子氏(2019年11月撮影)
  • 橋本聖子氏(2019年11月撮影)

騒動の蒸し返しを不安視する関係者も

   森氏の後任として橋本氏と並んで有力候補とされていたのが、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)と組織委の小谷実可子スポーツディレクター(54)だ。山下氏、小谷氏ともに五輪メダリストで国際的に知名度は高く、検討委員会が求めた資質に合致する人材と見られたが、今回はスポーツ界と政界に精通する橋本氏に重責が託された。

   橋本氏は夏季(自転車競技)・冬季(スピードスケート)合わせて7回の五輪に出場。1992年アルベールビル冬季五輪では女子スピードスケート1500メートルで銅メダルを獲得。95年に参院議員に当選し、これまでJOC副会長、日本スケート連盟会長などを歴任。14年ソチ冬季五輪では日本選手団団長を務めた。

   橋本氏はアスリートとして輝かしい実績を誇り政界に太いパイプを持っており、検討委員会が求めた「組織運営能力」や「調整力」を兼ね備えているとされる。その一方で、大会関係者が危惧するのが7年前の「セクハラ騒動」だ。橋本氏が組織委員会の会長に就任することで、この騒動が蒸し返されることを不安視している。

「世間の賛同を得られるかどうか疑問」

   大会関係者のひとりは「橋本さんの『セクハラ騒動』に関して、過去のことだと受け止めている委員もいるが、批判的な意見も根強く残っている。森さんの女性蔑視発言でこのような事態に陥ったわけですから、次期会長に対する世間の目は厳しくなる。橋本さんを会長に据えたことで世間の賛同を得られるかどうか疑問です。橋本さんにはイバラの道が待っているでしょう」と語った。

   橋本氏の「セクハラ騒動」について2014年8月20日発売の「週刊文春」(同年8月28日号)が報じた。同年2月に開催されたソチ冬季五輪の閉会式後に選手村で開かれた打ち上げパーティーで、当時日本選手団団長だった橋本氏がフィギュアスケート男子の高橋大輔選手に抱きつきキスをしたというもので、高橋選手は橋本氏の「セクハラ」、「パワハラ」を否定している。

   また、別の大会関係者は「橋本さんと森さんは非常に親しい間柄にある。イメージ的にいえば、橋本さんには常に森さんの影が付きまとっている感じ。森さんの『色』を完全に払しょくしきれていない。イメージを一新するせっかくの機会だったので残念に思います。橋本さんが会長に就任したことを海外メディアがどのように報じるか。それも気になるところです」と話した。

   五輪開幕を約5カ月後に控え、森氏から大役を引き継いだ橋本氏。大会開催へ向けて多くの課題が山積するなか、橋本氏の手腕に注目が集まる。