J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

澤村拓一はメジャーに通用する? 「性格はプラス」も足りない「武器」...元巨人コーチが分析

   プロ野球のロッテから海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャーリーグ入りを目指していた澤村拓一投手(32)がレッドソックスに入団することが決まった。球団が2021年2月16日(日本時間17日)、正式に発表した。複数の米メディアによると、契約は2年で年俸は総額で約3億2000万円(金額は推定)という。

   日本球界から長年の夢であったメジャーリーグに挑戦する澤村。果たしてメジャーで通用するのか。J-CASTニュース編集部は巨人の戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(55)に分析してもらった。

  • 澤村拓一投手(写真:AP/アフロ)
    澤村拓一投手(写真:AP/アフロ)
  • 澤村拓一投手(写真:AP/アフロ)

「性格は周りのことが気にならないタイプ」

   澤村は昨シーズン、巨人で13試合に登板し防御率6.08と振るわず、シーズン途中の9月に交換トレードでロッテに移籍。新天地のロッテでは22試合に登板して防御率1.71の数字を残し復活の兆しを見せた。昨年11月に海外FA権を行使することを表明し、メジャー移籍を目指していた。

   巨人のコーチ時代を通じて澤村の人柄を知る橋上氏は、「澤村選手は細かいことを好まないタイプなので、もしかしたらそれがアメリカに合うかもしれない」と澤村の性格が米国の環境にフィットする可能性を指摘し、次のように続けた。

「澤村選手は屈託のない明るさを持っており、礼儀正しい青年です。私が他球団に移っても、球場で会えば必ずあいさつにきてくれました。性格は周りのことが気にならないタイプで、非常にマイペース。投手らしい性格といえば投手らしい性格です。アメリカでは投げることだけに集中出来ると思いますし、彼の性格はプラス要素になると思います」(橋上氏)

「日本にいるときより球は荒れる」

   レッドソックスは野茂英雄をはじめとし、松坂大輔、上原浩治ら多くの日本人投手が所属した球団だ。地元ボストンでは早くも澤村への期待が高まっており、注目度は上がっている。ボストンの地元メディアでは、澤村が「守護神」争いに加わる可能性に言及しているが、橋上氏はいくつかの不安要素を指摘した。

「メジャーのボールは滑りやすく日本よりも制球しづらい。日本のボールであれだけ制球が乱れるので、日本にいるときより球は荒れると思います。そうなるとストライクを取ること自体、きゅうきゅうとする。スプリットは効果的な変化球だが、それ以外の球種である程度カウントを整えられる球を持っていないとメジャーでは厳しいでしょう」(橋上氏)

   また、橋上氏は澤村がメジャーのマウンドに挑むにあたり「制球、球種含めて武器が足りないと思います」と指摘した上で次のように語った。

「スプリットはカウントが有利になって初めて生きる球種。スプリットは見送ればボールになってしまう球ですから。田中(将大)投手のスプリットがいきるのは、ストレートとスライダーの制球がいいので、ボールになってもいいスプリットを使えるカウントをつくれる。そうなると打者はボールになるであろう球を打たざるを得ない。ボールが先行してしまうような投手は、ボールになるスプリットを使えるカウントにもっていきづらい」(橋上氏)