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人はなぜ「どうでもいいニュース」にわざわざ反応してしまうのか 渡部バイト報道から考えるSNS心理

   お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さん(48)が東京・豊洲市場で働き始めたとのニュースが話題だ。

   渡部さんといえば2020年6月に「週刊文春」によって複数の女性との不倫関係を報じられ芸能活動を自粛。その渡部さんが今回、芸能界とは別の世界で働き始めたと伝えられただけあって世間からの注目度は高いが、その一方で、今回の渡部さんについての報道を「どうでもいい」とする声も少なからず上がっている。

   しかし、「どうでもいい」というニュースに、わざわざSNSで反応するのはなぜだろうか。J-CASTニュースは、そうした呟きをするユーザーの心理について識者に聞いた。

  • 渡部建さん(2020年撮影)
    渡部建さん(2020年撮影)
  • 渡部建さん(2020年撮影)

「どうでもいい」と言いつつ、それでもツイートする人々

   あるツイッターアカウントは「渡部が豊洲でバイトとか今日1どうでもいいわ」とツイート。また別のアカウントも「通知で来る渡部のニュース世界一どうでもいい」と、やはり、「どうでもいい」とツイートしているのだ。

   確かに、渡部さんが豊洲市場でアルバイトをしているという事実は、ほとんどのユーザーにとっては、それこそ自身の人生に「1ミリグラム」も関係ない事実だ。

   ただ、そう考えてみると、渡部さんの近況など自らの人生に全く関係ないはずの人々から、「どうでもいい」とする声が多数上がるのも、これまた不思議な話だ。自らの人生に「全く関係ない」のであれば、そもそも、ツイートなどしなければ良いからである。

   しかし、この手の反応は決して今回に限ったことではない。とかく、芸能ニュースに関しては、「どうでもいい」と言いながら、そのニュースにわざわざ言及するSNSユーザーが多いのだ。

   例えば、「歌手の○○がオフショットを公開!」「フリーアナウンサーの○○がストレッチの様子をインスタグラムにアップした!」といったニュースに対し、「○○さんがどうしようと、どうでもいいんですけどね」といったツイートがなされるのはもちろん、それを報じるニュースに対しても同様のコメントがつくことは珍しくない。そう考えると、これらの声は、実は、その字面に反して、何らかの理由で「どうでもいいとは思わない人々」がツイートしているのではないだろうか。

   そこで、J-CASTニュース編集部はこれらの声を上げる人々が何を思いながらメッセージを発信しているのかについて、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に分析を依頼した。

決して、「どうでもいい」とは思っていない?

   まず、鈴木氏は、その情報に本当に関心がなければ、人は何の反応も示さないとしつつ、以下のように指摘した。

「ツイートや書き込みをしているところからして、これらの人々は、やはり、『気にはなって』おり、決して、『どうでもいい』とは思っていないのです」

   その上で鈴木氏は、その関心の持ち方を分類しつつ説明した。

「まず挙げられるのが、『倫理に違反した者の末路を見てみたい』という関心の持ち方です。

渡部さんは昨年、『多目的トイレでの不倫』という、それこそ、個人的性癖が垣間見える違反行為を行ったわけですが、このような『世間的には100%アウト』な違反を行った者に対しては、世間の人々はその後の顛末を見たがります。
その結末は......バッドエンドはもちろんハッピーエンドでも問題なく、渡部さんが今後、何らかの許しを得ていくとしたら、その過程もまた視聴者にとってはエンターテイメントなのです」

佐々木希ファンの反応だった?

   また、これ以外の関心の持ち方についても、鈴木氏は説明を続ける。

「自らの人生に関係ないとはいえ、妻である佐々木希さんの男性ファンは、どうしても関心を抱いてしまいます。それを覆い隠すための『どうでもいい』なのです。これらの人々は、渡部さんに対してはどうしても『離婚すべき』といった、渡部さんがさらに不幸になることを願ってしまいがちであり、そのくすぶる思いを何とかネット上に出せる形にしたのが、『どうでもいいけど』と言いつつのツイートや書き込みなのです」

   さらに、最後に鈴木氏は、渡部さんが豊洲市場で働くことが「自身の人生に、多少は関係ある人々」の存在にも言及した。

「魚介類が好きで、普段から多少なりとも豊洲市場に関心がある人は、世間的には100%アウトな渡部さんが豊洲市場で働いてしまうと、『聖地を汚された』という思いを抱いてしまいます。事実、ネット上には『豊洲で働くことを禊とするな』といった声が噴出していますし、その中に、本当に豊洲市場で働いている人が含まれている可能性ももちろんあります」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)