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波動、オゾン、腸内洗浄...がんは代替療法で「再発なし」 光文社「誤解を招きかねない」と記事削除

   女性誌『美st』のがん治療に関する記事をめぐり、読者の誤解を招く恐れがあるとして、発行元の光文社は2021年3月10日、ウェブサイトから削除した。

   「波動治療」「オゾン療法」など、がんの代替医療を紹介する内容だった。

  • 『美st』2月号(電子書籍より)
    『美st』2月号(電子書籍より)
  • 『美st』2月号(電子書籍より)

「感謝と思いやり」で改善との記述も

   削除された記事は、3月1日に『美st』の公式サイトやヤフーニュースで配信された。

   東京都内のクリニックの院長が、「標準治療を受けない治療法で再発なし(中略)【乳がん】闘病と治療法」と題し、乳がんを患った経験をもとに代替療法を紹介する内容だ。

   この医師は、乳がんの手術後、「波動治療」「オゾン療法」「高濃度ビタミンC点滴」「腸内洗浄」「食事療法」などさまざまな代替治療が功を奏し、現在まで再発を防げていると考察している。「病気になったことを誰のせいにしたりせず、周りの人に感謝と思いやりの気持ちを持ち、自分の役割に気づいて改善した」とも述べている。

   そのほか、抗がん剤の代わりとして、「がん免疫細胞療法」「BAK療法」「遺伝子治療」も紹介している。

   上記の治療法は、この医師のクリニックで自由診療として取り扱っている。

記事掲載の意図は?

   記事をめぐっては、各治療法のエビデンス(科学的根拠)が示されておらず、標準治療を否定するような内容も含まれているとして、医師やジャーナリストらからSNS上で疑問視する声が相次いだ。

   こうした意見を受け、記事は10日に削除された。光文社広報室は11日、J-CASTニュースの取材に「Webとして配信するにあたり、分割しての配信にしたことで、お一人ずつの体験談が独立してしまい、ご覧になった方々に誤解を招きかねない、と判断したものです」と答えた。

   記事は、『美st』2月号に掲載されたものをウェブサイトに転載した形だった。誌面では「正しい知識を身に着けたい がんサバイバーに聞く、私の闘い方・今の生き方」と銘打った16ページの特集を組み、記事はその一つだった。

「今特集は、さまざまな治療法、予防法がある中で、実際に、がんに罹患経験がある複数の女性の闘病体験を紹介することで、『知識と知見』について読者が考える一助となることを企図したものです」(広報室)

   媒体として前述の代替療法を支持しているか問うと、「さまざまに存在する治療法、予防法のひとつ、と理解しております」との見解だった。